幻の「村松軌道」知って 茨城・東海で企画展、24日まで レール初公開、模型も

JR東海駅西口近くにあった民家から発見された村松軌道のレール=東海村村松

■貴重な資料30点

茨城県東海村内で約100年前、わずか5年ほど走った鉄道「村松軌道」について紹介する企画展が、同村村松の村歴史と未来の交流館で開かれている。同鉄道の列車の写真は1枚も残されておらず、資料も少ないため「幻の鉄道」とされる。同展では、2019年に発見された村松軌道のレールが初公開されている。資料約30点の展示を通し、同鉄道の実像の一端を知ることができる。24日まで。

会場には、初公開のレール13本のほか、線路の平面図、時刻表などが展示されている。鉄道省に提出された機関車の組み立て図面を基に、段ボールで作成された実物大の機関車模型(高さ2メートル、長さ3メートル、幅1.5メートル)は、来場者の目を引き付ける。

村松軌道は「石神駅」(現東海駅)から「真崎駅」を経て阿漕ケ浦南側の「阿漕駅」までの約4キロを走った。JR常磐線の線路下をくぐる「村松開渠(かいきょ)」だけが痕跡として残る。

県内経済界の地元有力者ら9人が発起人となり、1922年に旧鉄道省へ敷設を申請。23年に営業許可を受け、26年から運行を始めた。石神駅から村松山虚空蔵堂へ向かう参拝客を運ぶ目的で造られたが、乗合自動車の登場で乗客数は伸びなかった。自然災害も重なり、実質31年までの5年ほどしか走らず、33年で廃止となった。

初公開のレールは2019年、解体された東海駅西口近くの民家から見つかった。レールは家屋の骨組みに使われていたという。

同館担当者は「村松軌道が確かに村内を走っていたことを、多くの人に知ってほしい」と来場を呼びかけている。

入場無料。19日休館。問い合わせは同館(電)029(287)0851。

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