「平戸の戦争遺構を知って」 平和学習で紹介 野子小

田中さん(左)から戦争遺構について学ぶ児童=平戸市、野子小

 長崎県平戸市野子町の市立野子小(開靖友校長、26人)で12日、平和学習があり、全児童が生月町の団体職員、田中まきこさんから市内の戦争遺構について学んだ。
 平和学習は、長崎への原爆投下だけでなく、平戸でも戦争に関わることが起きたことを知ってもらうのが目的。夏休みの登校日(8月9日)に田中さんの講話を予定していたが、台風接近で登校日が中止になり、この日に変更された。
 田中さんは、同校の校区でもある離島の高島(宮ノ浦漁港沖)を含む市内全域を調査。資料などによると、高島には敵潜水艦の侵入を防ぐ「防備衛所」があった。実際に島を訪れ、防備衛所の施設とみられるコンクリート造りの建物や砲台などを確認したことを報告。1945年6月、宮ノ浦から出港した旧日本軍の艦艇が、敵機の攻撃を受け沈没し、17人が戦死した史実なども紹介した。
 田中さんは「過去にあったことを知り、平和とは何か、戦争をしないためにどうするか考え続けるため」と調査する理由を語った。「平戸は海を挟んで中国や朝鮮半島と向き合う重要な場所なので軍の施設が置かれた」などと解説した。
 この後、児童が学年ごとに「相手の気持ちを考える」「みんなと仲良くする」「人を差別せず、違いを認め合う」など、平和のためにできることを発表。6年の宮本美織さん(11)は「自分たちが住んでいる宮ノ浦でも戦争があったことが分かった。家族と共有したい」と話した。

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