両レース僅差の決着。ASPメルセデス6勝目、スプリント王者もBMWで初勝利/GTWCヨーロッパ第8戦

 ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)第8戦が、9月16~17日にスペインのバレンシア・サーキットで開催された。スプリント・カップの第4ラウンドとなった同イベントでは、土曜のレース1でアコーディスASPの88号車メルセデスAMG GT3エボ(ラファエル・マルチェッロ/ティムール・ボグスラフスキー組)が優勝。翌日のレース2はチームWRTの32号車BMW M4 GT3(シャルル・ウィーツ/ドリス・ファントール組)がレースウイナーとなっている。

 全10戦で構成される2023年シーズンも、すでに終盤戦に入っているGTWCヨーロッパ。前回イベントのホッケンハイムでドイツでの連戦を終えた各チームは、今度はバレンシア、バルセロナのスペイン2連戦へと入っていく。

 その第1ラウンドとなったバレンシアのレース1では、フリープラクティスでトップタイムを刻み、予選では惜しくも0.064秒差でポールを逃すもフロントロウの2番手につけた88号車メルセデスが逆転勝利を収めた。

 このフランスのチームは、デニス・マーシャルのドライブでスタートからレース前半戦をリードしたポールシッター、“プロンズカップ”エントリーの66号車アウディR8 LMSエボII(トレゾア・アテンプト・レーシング)をピットタイミングでかわすと、後半戦はマルチェッロから交代したボグスラフスキーが、予選3番手から順位を上げたアルバート・コスタ駆る69号車フェラーリ296 GT3(エミル・フレイ・レーシング)の追撃を振り切り、0.380秒差でトップチェッカーを受けた。

 40号車アウディR8 LMSエボII(トレゾア・オレンジ1)が3位表彰台を獲得し、コムトゥユー・レーシングの11号車アウディR8 LMSエボIIが4位。チームWRTの32号車BMWが5位に入っている。

 明けた17日(日)は、ダンプ路面となった予選で最速タイムをマークした26号車アウディR8 LMSエボII(サンテロック・ジュニアチーム)を、レース1で僅差の2位となった69号車フェラーリが追いかける展開に。

 そのレース2のオープニングラップでは、5番手グリッドからスタートした119号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(VSR)など複数台が絡むアクシデントがあり、早々にセーフティカー(SC)が導入される。さらに、3番手スタートの46号車BMW M4 GT3(チームWRT)もスタート時に芝に押し出された影響でスロー走行、その後にリタイアとなる波乱の序盤戦となった。

スプリントカップ4勝目をマークしたラファエル・マルチェッロ/ティムール・ボグスラフスキー組(アコーディスASPチーム) 2023年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第8戦バレンシア
69号車フェラーリ296 GT3から逃げ切った88号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム) 2023年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第8戦バレンシア
シルバーカップ3位となったVSRの根本悠生(右からふたりめ) 2023年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第8戦バレンシア

■総合4番手走行の根本組ランボルギーニも無念のリタイア

 リスタート後は、根本悠生と163号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(VSR)をシェアするマキシミニアン・ポールが40号車アウディにかわされ5番手に順位を下げた直後、電気系トラブルによりマシンを止めてしまう。同車はレース1で総合20位/シルバーカップ3位表彰台を獲得し、このレース2ではさらなる好結果が期待できただけに、痛いリタイアとなった。

 トップを争う26号車アウディと69号車フェラーリの接近戦が続くなか、レースは中盤に突入。するとピットウインドウが開く直前にふたたびSCが入りドラマを生むことに。

 スタートから25分が経過しウインドウが開いたと同時にピットに飛び込んだ32号車BMWは、対照的にSCが退いた後にピット作業を行った69号車と26号車を逆転し、5番手から一躍首位に浮上した。同じく早めのピットインを選択した40号車が4番手から2番手に。エミル・フレイのフェラーリは辛くも表彰台圏内に留まったが、ポールシッターの26号車は6番手に後退してしまう。

 その後、レース後半戦はBMWをドライブするウィーツに対し、アウディのフェラーが1秒以内に迫るバトルが展開される。膠着状態のまま迎えた終盤。レース残り7分でフルコースイエロー次いで三度のSCが入り、残り4分強で3度目のリスタートが切られる。

 各車のギャップがリセットされた状態となり最後の超スプリントレースの様相を呈したが、現スプリント・カップ王者ウィーツは落ち着いた走りで順位を守りトップフィニッシュ。0.820秒遅れて40号車アウディが2位、トップと1.7秒差の3位に69号車フェラーリが入った。エミル・フレイの姉妹車14号車が5位、2台の新型フェラーリの間にはシルバーカップを制した99号車アウディR8 LMSエボII(トレゾア・アテンプト・レーシング)が入っている。

 GTWCヨーロッパの次戦は、前述の“スペイン連戦”の第2ラウンド、シーズン第9戦バルセロナだ。カタロニア・サーキットで開催される同イベントはエンデュランス・カップの今季最終戦となる。

6番手スタートし4番手に浮上した根本悠生/マキシミニアン・ポール組163号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(VSR)だったが、レース序盤にトラブルでリタイアに。 2023年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第8戦バレンシア
シーズン初優勝を飾ったチームWRTの32号車BMW M4 GT3(シャルル・ウィーツ/ドリス・ファントール組) 2023年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第8戦バレンシア
レース2表彰式。エミル・フレイ・レーシング69号車フェラーリ296 GT3のティエリー・フェルモイレン/アルバート・コスタ組は週末2度の登壇に。 2023年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第8戦バレンシア

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