医科・理化学器械販売の老舗、白井松器械(株)[大阪]が民事再生法を申請

白井松器械(株)(大阪市中央区)は9月19日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、保全処分および監督命令を受けた。
申請代理人は鈴木規央弁護士(アクトアドヴァイザーズ法律事務所、東京都港区虎ノ門1-17-1)ほか2名。
監査委員には加藤清和弁護士(梅田総合法律事務所、大阪市北区堂島1-1-5)が選任された。
負債総額は申立時点では約87億円だが、今後変動する可能性がある。

医科・理化学器械の製造、輸入、販売などを手掛けていた。長年の業歴と高い技術力にニッチなニーズにも対応し、病理検査室を持つ全国の主要病院と取引実績を有するなど、相応の営業基盤を構築し、ピーク時の1994年10月期には売上高46億9969万円を計上していた。
しかし、同業他社の台頭による競合激化に加え、製薬会社の合併や撤退が相次いだことで業況が悪化。さらに、国立大学の独立行政法人化による予算の減少から、研究分野の市場も縮小していた。

こうした状況下で、金融機関から追加融資を受けることが困難になったため、当時の代表取締役の主導で粉飾決算を行うようになった。また、特定の大口顧客に対する売掛金回収サイトが長期に設定されていたうえ、安定供給のために過大な在庫を保有するよう要求され、厳しい資金繰りを余儀なくされていた。

借入金が膨らむなか、利払い負担の増加に加え、コロナ禍による売上減少も重なったことで、事業環境はさらに悪化。打開策として新たに環境改善機器を開発し、東南アジアのホテルや介護施設に売り込むことを計画していた。
しかし、2023年6月頃までに、当社の決算に疑念をもった複数の金融機関から約10億円の借入金を一括返済するよう求められたほか、借り換えも困難となり、資金ショートが避けられず、今回の措置となった。

なお、今後はスポンサーを募集し、スポンサーの支援による再生を目指す予定。

※白井松器械(株)(TSR企業コード:570090164、法人番号:9120001081721、大阪市中央区森ノ宮中央1-19-16、設立1924(大正13)年12月、資本金3000万円)

© 株式会社東京商工リサーチ