コガネセンガン生みの親 坂井健吉さん死去 98歳 収量、でんぷん含有量多く焼酎用芋の9割まで普及

2021年12月、コガネセンガンの誕生について語る坂井健吉さん=鹿屋市の南風ガーデンハウスまるかお用

 芋焼酎の原料などに広く使われている「コガネセンガン」の生みの親である坂井健吉さんが、老衰のため茨城県内の介護老人保健施設で7月1日に亡くなっていたことが9月19日分かった。98歳。葬儀は親族で済ませており、坂井さんが顧問を務めたNPO法人カラー芋ワールドセンター(鹿屋市)が10月5日にお別れの会を開く。

 坂井さんは三重県出身、京都帝国大卒。九州農業試験場紫原甘藷(かんしょ)試験地室長などを務め、コガネセンガンの開発育成に尽力。1966年に品種登録された。収量、でんぷん含有量が多く、酒質もいいとして、焼酎用芋の9割近くを占めるほど普及した。

 2012年、さつまいも産業振興協同組合が設立したサツマイモを広めた人物をたたえる「さつまいも殿堂」に種子島久基、前田利右衛門と共に選ばれた。

 有色サツマイモの利活用を目指すカラー芋ワールドセンターの顧問を務め、十数年前から鹿児島県内を度々訪れていた。21年12月に同NPOが坂井さんの顕彰碑を鹿屋市に建立した際は、酒造関係者や生産者を前に開発秘話について講演した。

2021年12月、コガネセンガンの生みの親をたたえる顕彰碑の横に立つ坂井健吉さん(中央)=鹿屋市

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