ダイエット注射はリスク大?薬剤師が教える医療ダイエット

「運動しないで楽に痩せたい!」

「好きなものを食べて食事制限せずに痩せたい……」

ダイエットをした方のほとんどは、このようなことを考えますよね。

では、SNSを中心に話題となっている「ダイエット注射」は本当に楽で安全に痩せられるのでしょうか。

薬剤師の視点から、ダイエット注射のリスクと、おすすめのダイエット方法を紹介します。

1. 今話題のダイエット注射とは

今話題になっているダイエット注射とは、一般的に「GLP-1受容体作動薬」という医薬品を使う注射です。

GLP-1受容体作動薬とは、主に食後に小腸から分泌される「GLP-1」というホルモンの代わりに、GLP-1の受容体に結合する薬の総称です。

このGLP-1受容体作動薬を服薬すると血糖値を下げる働きを持つホルモンである「インスリン」の分泌が促され、血糖値改善の効果が期待できるため、2型糖尿病患者の治療薬として開発されました。

服用方法は1日1回の飲み薬か、1日1~2回の注射、あるいは週に1度の注射なので、運動や食事制限より楽にダイエットできます。

しかし、2型糖尿病患者の治療に使われる薬なので、ダイエット目的での使用は保険が使えない「自費診療」になり、非常に高額です。

さらに、健康なからだに使うと下痢や嘔吐といった副作用が発生することもあるため、安易に使うことは推奨されていません。

2. ダイエット注射3つのリスク

GLP-1受容体作動薬のようなダイエット注射の使用によるリスクに関して、さらに詳しく説明していきます。

2-1. 健康被害を受ける可能性

既に紹介した通り、GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者のための治療薬で、患者が服用しても下痢や嘔吐などの副作用が発生する可能性のある医薬品です。

疾患を持たない健康な方が服用すると、その副作用がさらに重篤になる可能性もあります。

また、自分自身の持病や既に服用している薬との兼ね合いで、脳下垂体機能不全、または副腎機能不全や腸閉塞などの副作用を引き起こす可能性もあります。

このように「簡単に痩せたい」という目的でダイエット注射を行うことで、健康被害を受ける可能性もあるのです。

2-2. 費用が高額になることも

ダイエット注射は、結果的に費用負担が高額になります。

日本では、保険適応で病院を受診した場合、70歳未満の人は自己負担額が原則3割で診察や投薬を受けることができます。

一方、本来であれば想定されていない医薬品の使い方は「自己負担」となります。

この場合、治療にかかる金額の10割を患者が負担することになるので、病気やけがなどで病院に行ったときに比べると、費用が高額になるでしょう。

さらに、副作用があらわれて治療が必要になると、さらに医療費がかかることになります。

2-3. 必要な人に薬が届かなくなる?

現在、ダイエット注射のためにGLP-1受容体作動薬を使う人が増えていることで、本当に必要な2型糖尿病患者の元に薬が届かないという社会問題が発生しています。

芸能人が「痩せる注射を使った」と告白したことで炎上したニュースを見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。

実際、製薬企業からGLP-1受容体作動薬の「出荷調整」案内は多数出ています。

さらに、一部の企業では「美容・痩身・ダイエット等を目的とした適応外使用を控えるように」との明言もされているため、道徳的な観点からもGLP-1受容体作動薬の服薬は問題視されています。

3. ダイエット外来で使われる漢方薬とは

ダイエットには、漢方薬の服用がおすすめです。

ダイエット外来でも使われており、効能効果に「肥満」と記載されているものが複数あります。

また、副作用が少ないといわれているため、GLP-1受容体作動薬より気軽に始めることができます。

ダイエットをしたい方には、以下のような働きがある生薬を含む漢方薬を選びます。

・脂肪の吸収を抑える

・余分な脂肪を便と一緒に排出する

・脂肪を燃焼しやすくする

・自律神経の乱れを整え、過食を防ぐ

・水分代謝をよくして、むくみを解消する

<ダイエットをしたい方におすすめの漢方薬>

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):ぽっこりおなかが気になり、便通が悪い方に。

代謝を促し、便や汗などで不要物を体外へ排出する漢方薬です。また、脂質代謝機能を改善するので、ため込んでいる脂肪を減らすのに役立ちます。

・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):汗をかきやすく、むくみがあって太り気味の方に。余分な水分を体外に排出し、水太りやむくみの改善に働きかけます。

・大柴胡湯(だいさいことう):ストレスによる過食やイライラのある方に。自律神経のバランスを整え、脂肪代謝を促します。

このように、漢方薬の服薬によってダイエットへの効果が期待できるものもありますが、自分の体質や症状に合わない漢方薬を服用すると、副作用に悩まされてしまうこともあります。

また、合わない漢方薬を服用しても効果は期待できないため、漢方薬を服用する際には専門家の指導のもとで服用することが望ましいでしょう。

近くに漢方の専門医や漢方薬局などがなく、漢方薬に対するハードルが高いと感じている方には「あんしん漢方」のサービスがおすすめです。

オンラインサービスなので、自宅にいながら専門家の指導をうけて処方してもらえるなど、家から出なくても全てが完結します。

比較的安全にダイエットをしたいという方は、ぜひあんしん漢方を検討してください。

あんしん漢方

4. 正しく安全に理想のからだを手に入れよう!

SNSなどではダイエットに限らず簡単な美容情報が拡散されることもありますが、実は高額なものや効果のないもの、リスクの高いものも少なくはありません。

きれいになりたい方はそのような情報に惑わされず、正しく安全に理想のからだを手に入れてくださいね。

参考URL

GLP-1受容体作動薬

出荷調整

http://jspe.umin.jp/pdf/news_220303.pdf (オゼンピック)

https://www.nittokyo.or.jp/uploads/files/lilly_230508.pdf (トルリシティ)

添付文書

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499416G1029_1_17/ (トルリシティ)

(防風通聖散・効能効果に「肥満」と記載のある漢方薬の一例)

防風通聖散

防已黄耆湯

大柴胡湯

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。

「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘル-youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

あんしん漢方(オンラインAI漢方)
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