【台風13号】北茨城 こども園再開 茨城県内大雨 市施設で受け入れ

市生涯学習センター分館に登園し職員と再会を喜ぶ園児=午前8時半ごろ、北茨城市関本町

台風13号に伴う大雨で床上浸水に見舞われた茨城県北茨城市関南町関本下の認定こども園「誠之会幼稚園」は19日、同市関本町富士ケ丘の市生涯学習センター分館を借りて園児の受け入れを再開した。保護者に連れられた園児69人が登園し、職員が笑顔で出迎え再会を喜んだ。園舎の復旧には時間がかかる見通しで、職員らの奮闘が続く。

■車で約10分

「おはようございます」「おはよう。元気だった?」。この日は午前7時半ごろから園児が登園し、職員と笑顔でハイタッチ。慣れない場所に緊張した様子の園児もいたが、友人と遊ぶうちに徐々に緊張がほぐれた。

同園は里根川沿いにあり、8日の大雨時は園舎が膝上の高さまで水に漬かった。同園は応急的な対応として、車で10分ほど離れた同センター分館で一部受け入れを再開。同分館内の教室は浸水を免れた壁飾りで彩った。おもちゃは園で無事だったものを消毒して用意したり、職員や保護者が持ってきてくれたりしたものを使った。

2人の子どもを預ける嶋岡郷美さん(40)は「子どもたちも再開を楽しみにしていた。場所を見つけて早めに対処してもらい、親としての不安も和らいだ」と話した。同園の安嶋和代教諭(43)は「不便な面もあると思うが、子どもたちにとって今までと変化がないよう、できることをやりたい」と力を込めた。

■復旧は長期戦

同園に通う園児は73人で、学童クラブは32人が利用する。送迎バスが浸水被害に遭ったため、保護者には同センター分館まで送迎を依頼した。学童クラブは休止している。

職員らは被災直後から、泥に漬かった園舎で片付け作業を続けている。保護者や卒園生、元同僚、災害ボランティアらが応援に駆け付け、災害ごみの搬出などに力を合わせてきた。渡辺誠園長(74)は「自分たちがこうなるとは思わなかった。協力に感謝の気持ちでいっぱい」と言葉を詰まらせた。

園舎に大工が入り床板を剥がしたところ、かなりの泥がたまっていた。「復旧は長期戦になるが頑張っていきたい」。自らを奮い立たせる。

場所は変わっても久々に見た園児の笑顔に元気づけられたという渡辺園長は「楽しそうな姿や会いたかったと飛んできてくれる子もいて、うれしい限り。子どもたちになんとか楽しみを与えていきたい」と話した。

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