町の歴史 ガイドで伝え恩返し 元海上自衛官・樋口八洲太郎さん 佐世保地方隊創設70年

ガイドを通して「市民に恩返ししたい」と語る樋口さん=佐世保市、海自佐世保史料館

 海上自衛隊佐世保地方隊は16日で、創設から70年を迎えた。元海上自衛官の樋口八洲太郎さん(80)=佐世保市広田2丁目=は退官後、市内の旧海軍関連施設などを巡りながら、歴史を伝えるガイドを続ける。「地方隊と半分くらい人生を共にしたのは、とても感慨深い。佐世保の歴史や文化を伝え、市民に恩返ししたい」と力を込める。
 長崎県西海市崎戸町出身。防衛大を卒業した1966年に海自に入った。潜水艦の捜索などにあたる「水雷」の職務に長く携わり、98年に退官した。
 洋上での任務の大半は、星を元に現在地を確認する「天測」が主流。双眼鏡での確認など「自分の目が頼りだった」。退官の5年ほど前から、衛星利用測位システム(GPS)に変わっていった。アナログからデジタルへ。技術の進歩を感じながらも「船から郵便で、地元の恋人にラブレターを送る人もいた。アナログのよさもたくさんあった」と懐かしむ。
 海外任務では、生鮮食品は現地で調達。野菜の中に、タロイモなど日本では見かけない食材も多くあった。「何に使えるか分からないから、まずはカレーに入れ、それから『これはてんぷらにいける。酢の物にできる』って。工夫して食べていた」と笑った。
 71年11月に佐世保沖で初めて開かれた観艦式にも、護衛艦「まきなみ」の水雷士として参加。退官直前の97年には、海自佐世保史料館=同市上町=の初代館長も務めた。
 創設70年は「これまでの積み重ねがあってこそ」と話す。「佐世保は“基地の町”。海軍時代の歴史や文化を、たくさんの人に知ってもらいたい」と意気込んだ。


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