「圧巻ですね!」「素晴らしい発想」美大生が描く空想都市に衝撃…!

隅から隅までびっしりと描かれた街の線画。大人でも思わずじっくり見てしまいたくなる、この絵を描いているのは現役美大生こたさん(@kota_draw)。この絵は、現役美大生として最後に出版する絵本になるそうです。幼い時から「架空線路」で架空の街を紙に書くなど、自分の想像を絵にしてきたこたさん。

こたさんの絵を描く際のこだわりや、作品についてお話をうかがいました。

全力で書き上げました!

今回の絵本原画は、縦54cm、横76cmの紙にペンで描いて制作されたそうです。描いた枚数は合計12枚の大作。一枚一枚よく見ると、かなりの密度で描かれています。

こたさんのスケジュールもあり、1枚をおよそ3日で仕上げたそうです。かなりの集中力を使って描かれたのではないでしょうか。「描いているときは熱中しているので楽しかったのですが、スケジュールは今までで一番ハードでした(笑)」と、ハードなスケジュールでも制作を楽しんでいた様子のこたさん。

今回出版する絵本は、絵を描くのが好きな主人公が、自分で描いた絵の中に入り込み探検をする物語。描かれた都市は一枚一枚でそれぞれ違う世界観の絵になっているそうです。読者は、未来都市や宇宙都市、地底都市、植物都市など全部で12種類の都市を楽しむことができます。自分のお気に入りの都市が見つかるかもしれませんね。

「空想の世界を描く際は、まずざっくりとしたアイデアを決めます。」と、こたさん。

例えば宇宙都市だと、「探検するなら宇宙はロケットだよな〜!」という妄想からはじまり、「土星の輪っかがサーキットになっていたら楽しいな〜!」、「月にウサギのモアイ像が立ってたら面白いな〜」など、テーマに沿って都市のイメージを固めていっているそうです。

「ある程度アイデアを固めてから制作に入っていますが、昔から思いつくままに描くのが好きなので、描きながらアイデアを考えたりもしています!」とのことでした。

自分の「ワクワク」「ドキドキ」を大切に

こたさんが小学1年生のとき「育てたアサガオ」を描く課題で描いた絵(@kota_drawさんより提供)

元々、幼い頃から空想の世界を描くのが好きだったこたさん。小学1年生の頃、図工で「育てたアサガオ」を描く課題が出されました。こたさんはアサガオが大きな遊具になっている絵を描き、この絵で初めて賞を取りました。

このエピソードがきっかけで、こたさんは空想の世界を描くことにより熱中していきました。保育園の頃には、今描いているペン画の都市に近いような空想世界を描いていたそうです。その後、小学6年生のときに一番大きな空想都市のペン画を完成させ、「空想都市」は自分の作風として定着していったとのこと。

5歳のときに描いた「俳句を作る工場」の絵(@kota_drawさんより提供)
小学6年生のときに一番大きな空想都市のペン画を完成させる(@kota_drawさんより提供)

昔から、空想都市を描き上げたらまたすぐに次の絵を描きたくなるこたさん。想像の世界を描くのは限りがないため、「いつも描き上げると完成した〜という気持ちより、まだまだ世界を広げたい!」という気持ちになるそうです。こたさんのアイデアがどんどん頭に溢れてくる様子が伝わります。

「作品の制作でこだわりは?」という問いに対して、「こだわりはたくさんあるのですが、一番は幼ごころを忘れないことです!幼い頃に感じていたワクワク、ドキドキする気持ちを大切にして、子どもたちと同じ目線で絵本を作るのが一番大事だと思っています。絵本を通して、空想、妄想することの楽しさを知ってもらえたら嬉しいな〜という一心です!」と回答がありました。子どもたちも、こたさんの世界に夢中になる理由が分かります。

技術的には、大学ではデザインを学んでいることを活かし、ただがむしゃらに絵を描かず、「どうしたら見やすい絵になるか」デザイン的な視点から考えて制作しているそうです。

卒業後も精力的に活動

卒業後は、絵本作家・イラストレーター・デザイナーとして活動されるそうです。「今回の絵本の出版以降のスケジュールも、絵本の依頼も沢山頂いているので、力の限り沢山の絵本をお届けしていけたらと思っています。イラストレーターやデザイナーとしても、色々なお仕事をしたいと思っています!」と意気込みを語っていただきました。

今後も子ども、大人も楽しめる絵本やイラストを届けてくれるこたさんの活躍が楽しみです。

こたさんがペン画で制作した新作絵本が今秋にフレーベル館さんより発売予定(フレーベル館 出版)

ほ・とせなNEWS編集部

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