ロータスの新時代が到来 100%電気自動車の「エレトレ」を発表

2ドアのライトウェイトスポーツカーを専門に手掛けてきたイギリスのロータスに、大きな変化が訪れようとしている。彼らがピュアエレクトリックハイパーSUVを標榜する「エレトレ」が日本に上陸した。

ポルシェやランボルギーニなど、多くのスポーツカーメーカーがクロスオーバーSUVで世界進出する時代。通常はSUVモデルを製作し、ハイブリッド化を経てフル電動化に進むのが一般的なステップだが、ロータスは4ドア、フル4シーター、クロスオーバーSUVといった同社にとって初となる試みを一気にこなし、いきなりフル電動化のエレトレでマーケットに打って出た。

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LTCC(ロータステクノロジークリエイティブセンター)のベン・ペイン氏が手掛けたスタイリングは、伸びやかな平面が強調されており、ひと目でロータスと分かる躍動感を秘めている。サイズは全長5103mm、全幅2135mm、全高1630mmと巨大で、ホイールベースはその間にバッテリーを置くBEV(電気自動車)らしく、3019mmと長い。全長だけでいえばポルシェ「カイエン」より長く、ベントレー「ベンテイガ」とほぼ同じサイズだ。

インテリアはコンセプトモデルのような先進性にあふれている。ドアの内張りからダッシュパネルの上端を貫く水平基調のデザインがボディとうまく符合しているし、素材やソリッドな形状のバケットシートがおしなべて簡潔に見えるあたりもロータスらしい。リアシートは2人掛けと3人掛けを選択できるが、前者(4シーター)の方が、リアシートエンターテインメントが充実した仕様になり、クルマのキャラクターにも合っている。

標準モデルのほか「エレトレS」、「エレトレR」という3グレードの展開で、日本市場に最初に投入されるのはSとRになる。どちらのモデルもボディの前後にモーターを備えたAWDモデルで、Sは612ps、Rは918psという最高出力を誇る。駆動用バッテリーは床下に敷き詰められており、その容量はグレードを問わず112kWh。新燃費基準のWLTPモードによる一充電あたりの走行距離は、Sで600km、Rで490kmと発表されている。

また、エレトレは現在のBEVとしては最新鋭のテクノロジーを数多く秘めている。中でもルーフ上で展開する大型のLiDARシステム(レーザー光を使って離れた場所にある物体の形状や距離を測定するセンサー技術)を用いた先進運転支援システムが注目を集めており、レベル4の自動運転(限定条件下で自律走行可能)が可能だ。またOTA(オーバー・ジ・エアー:車載コンピュータのソフトウェア更新を行う手法)によるアップデートにも対応しているという。

優れた技術が数多く盛り込まれ、ボディは大きく、車重は2.5トン超えとなるなど、これまでのロータスらしからぬスペックが話題だが、同社の副社長であるマイク・ジョンストン氏は、「For The Driver」というロータスの伝統はエレトレにもしっかりと息づいており、ドライバビリティの面においても妥協はないと宣言している。

日本上陸と同じタイミングで発表された車両価格はSが2332万円、Rが2585万円となっている。日本仕様の生産開始時期は当初予定していた2024年7月から、1月に早まったという。来年にはデリバリーが開始され、その姿を日本の路上で見ることもできそうだ。

現代の「エミーラ」に代表されるモデルや、ハイパーEVの「エヴァイヤ」といったスポーツカーに加え、今年9月には4ドアセダンの「エメヤ」も発表している。イギリスの老舗はまさに変革期の真っただ中にある。

ロータス エレトレ S 車両本体価格: 2332万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5103 X 全幅 2060 X 全高 1636 mm
  • ホイールベース | 3019 mm
  • 車両重量 | 2595 kg
  • システム最高出力 |612 ps(450 kW)
  • システム最大トルク | 710 N・m/li>
  • 一充電最大走行可能距離 | 600 km(WLTCモード)
  • 0-100 km/h | 4.5秒

Text : Takuo Yoshida

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