リビア洪水:洪水で分断された町、デルナ 国境なき医師団はまもなく活動を開始

デルナを訪れたMSFのチーム=2023年9月16日 Ⓒ MSF

暴風雨「ダニエル」による壊滅的な洪水からおよそ1週間がたったリビア。国境なき医師団(MSF)は、9月13日から被災地へ緊急チームを派遣し、物資の寄贈やニーズ調査を行ってきた。まもなく現地で医療・人道援助活動を開始する。

リビア東部の都市デルナとスーサの状況を、MSFの医療コーディネーター、マノエレ・カルトンが説明する。

Q暴風雨「ダニエル」の襲来からおよそ1週間がたちましたが、デルナの状況は?

デルナは数日前の混乱した状況に比べれば、いまは落ち着いています。道路を行き交う車や人の数はかなり少なくなりました。おそらく何人かのボランティアはすでに町を去り、生存者を探していた人びとも捜索を断念したようです。援助団体やボランティアが入り乱れていた状況もだいぶ落ち着きました。いまは嵐の後の静けさという感じです。営業を始める小さな店も増え、町は変わりつつあります。

Qこの地域の他の都市の状況は?

週末にかけて、私たちはスーサとデルナ周辺の他の都市に行き、状況を調査しました。スーサには洪水前、約2万人の住民がいました。デルナに比べれば被害は少ないものの、それでも町の一部に大きな被害が出ています。医療面では、スーサもデルナと同様、メンタルヘルスや慢性疾患などに対する医療支援が必要です。

デルナ近郊の都市スーサの全景=2023年9月17日 Ⓒ MSF

QMSFはこれまでどのような活動を行ってきたのですか?

9月18日、デルナでリビア赤新月社が支援を行っている場所を訪れ、診察を行いました。地元の医療スタッフをサポートするため、トリポリからデルナに来た医師もいます。私たちが訪れたある場所では、2日前には44世帯の避難民がいましたが、現在は13世帯しかいません。他の人たちは皆デルナを去り、東部の中心都市ベンガジに向かいました。町を離れたくない人たちだけが、ここに残っているのです。

洪水後のデルナ=2023年9月16日 Ⓒ MSF

QMSFはどのような援助計画を立てていますか?

私たちは、医療・人道援助ニーズの調査を終え、活動を開始する準備をしています。リビア保健省に提出したMSFの提案は承認済みで、準備が整い次第、活動を開始します。何人かのMSFのチームメンバーは、数時間以内にデルナに到着する予定です。

デルナは洪水によって文字通り2つに分断されました。私たちのチームは、デルナの東側と西側にある2つの基礎診療所をそれぞれ全面的に支援する予定です。また、別の診療所では、慢性疾患や心のケアの対応に焦点を当て、取り組んでいきます。避難民が滞在する場所では、心のケアを提供する移動診療を運営し、水と衛生に関する活動も行う予定です。

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