今年は過去最低の35位、1989年から4年続けて世界一だったのに 日本の現在地

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 春先からフル回転してきた影響が出たのだろうか。米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が右肘と右脇腹の故障で残り試合の欠場を決め、今季を終えた。

 残念な幕引きとなったが、投打の二刀流の歴史的な活躍で、日本は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝。続くようにバスケットボール男子はワールドカップ(W杯)で48年ぶりに自力で五輪出場を決め、野球のU-18(18歳以下)W杯も初制覇を飾った。

 個人では世界陸上女子やり投げで北口榛花選手が金メダルを獲得。一流選手が集うダイヤモンドリーグで世界を転戦しながら記録を伸ばす。大谷選手同様、常に高いレベルの選手と競い合う環境に身を置くことが、結果につながっている。

 一方、こちらの日本の順位は振るわない。スイスの国際経営開発研究所が発表した2023年版「世界競争力ランキング」で日本は前年から順位を一つ下げ、過去最低の世界35位。政府の効率性、インフラなど4項目の評価で経済実績の悪化などが響いた。1989年から4年間トップだったから、隔世の感がある。

 男女格差を数値化した「ジェンダー・ギャップ指数」の2023年版も日本は125位。より良い社会をつくり国際的な競争力を高めるには、「三流」とも評された政治のリーダーシップが欠かせない。政治家に大谷選手のような二刀流は求めない。本業で成果を見せてほしい。

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