個人情報保護委員会、デジタル庁を行政指導 管轄庁が行政処分受ける異常事態に

 個人情報保護委員会は20日、公金受取口座情報の紐付け間違いなど、情報管理の杜撰さが問題となっているマイナンバーカードの管轄庁、デジタル庁を行政指導した。マイナンバー法に基づくもので、制度を管轄する官庁が政府機関から行政処分を受ける異例の事態となっている。

指導理由は公金受取口座情報の紐付け間違い

 同委員会が発表したところによると、今回の行政指導は公金受取口座の情報紐付けのミスが相次いだことが理由。この口座登録は住民が自身のパソコン、スマホなどの自分の端末から作業できるが、そういった端末を所有していない住民に対しては、自治体の窓口に置かれている共用端末で登録できるようになっている。

 しかしこの共用端末での操作方法の周知ができておらず、登録に来た住民が作業完了の操作(ログアウト)を行わずに離席するケースが多数発生。この状態で別の住民が操作すると、離席した住民の情報に口座が紐づかれてしまう処理ミスが発生するが、デジタル庁はログアウトの告知はしていたものの現場での徹底ができていなかった。

 この問題に関して、同委員会は事前にデジタル庁から報告書を受け取っているが「報告内容が十分でない」と不信感を募らせ、7月19日に立入検査を行なっていた。

 マイナンバーカードに関する処理ミスをめぐっては、今回行政指導となった公金受取口座以外にも、いくつかの自治体で発生した別人の住民票が出力される問題、「マイナ保険証」で他人の保険加入情報が登録された問題、他人の年金情報が閲覧できてしまう問題など、様々な事案が確認されている。同委員会はこれらの事案に対する処分も検討している。

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