ポルシェ・ペンスキー、963の増車を否定。2024年のル・マン24時間も3台体制を目指す

 ポルシェLMDhファクトリー・ディレクターのウルス・クラトルによると、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)は、来季2024年のル・マン24時間レースでふたたび3台の『ポルシェ963』をグリッドに並べたいと考えている。

 100周年を迎えた今年のル・マンで、同じく2023年にデビューしたLMDhマシンを3台体制で走らせたドイツのメーカーは、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を戦う各2台、都合4台のワークスカーを投入する可能性を否定している。

 2024年のWEC/ル・マンには、今年16台がエントリーしたトップカテゴリーにアルピーヌ、BMW、ランボルギーニのLMDhカーが新たに加わり、WECハイパーカークラスに計20台を超えるエントリーが集まることになる。

 ポルシェ・ペンスキーのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイドは「4台が出場できるとは思っていないし、私たちにはIMSA GTPのプログラムを運営する義務がある」とSportscar365に語った。「私たちにはクルマがたくさんあるだけだ」

 クラトルは次のように付け加えた。「ル・マンは、WECがどれだけのエントリーを許可するかという問題であり、これはまだ分からない部分だ」

「もし3台のマシンを持つことが許されるなら、我々はル・マンに3台で参戦することを検討することになるだろう」

「これは、ワークスチームとして許されるスロットの数と、正確なルール設定の問題だ。この件に関してはWECの関係者と協議中だが、まだ先の話となっている」

 クラトルは、ポルシェは結果次第で両方のシナリオに備えるだろうと述べた。

「私たちとしては、ル・マンでもデイトナでも、すべてのビッグレースで可能限り台数を増やしたいと考えている。認められるのであれば、ル・マンで3台体制にすることを強く検討したい」

「この質問に答えるのは私ではないが、来年のグリッドにそれほど多くの空き枠があるとは思えない。WECにどれだけのエントリーがあるかは、実際に見てみなければ分からないんだ」

■2024年も6月はタイトなスケジュール

 来シーズンのル・マン24時間については、ウェザーテック・スポーツカー選手権を主戦場とするアメリカベースのチームにとって、スケジュールの観点から困難になると予想される。IMSAのカレンダーに復帰したデトロイト・ラウンドがテストデーの1週間前にあり、本戦の2週間後にはワトキンス・グレンでの6時間レースが控えているためだ。

 このスケジュールでは、来年6月に行われる3レースすべてで同じシャシーを使用する可能性は排除される。

「ル・マンの後はタイトになる」とPPMのディウグイド。「ACOフランス西部自動車クラブは、まだ車両台数などに関して何ができるかを把握しようとしている」

「すべてがタイトになるが、今年の残りの部分と同じように私たちは適応して解決することができる。ル・マンは我々のプログラムにとって大きな推進力だと思う」

「我々はIMSAテストをル・マン後の月曜日に実施した。以前にもいくつかの衝突に対応しており(来年についても)忙しくなるだろうが、対処することができるはずだ」

ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ、はWECとIMSAで2台ずつLMDhカーを走らせているが、来季ル・マンでの4台目の投入を否定した。

■デイトナ24時間は2台に集中

 先週末、インディアナポリスで行われたシーズン第10戦でチーム初のワン・ツー・フィニッシュを飾ったPPM。ロジャー・ペンスキー率いるチームは、ウェザーテック選手権のフラッグシップレースであるデイトナ24時間でも、グリッドに関する部分で同様の状況に直面している。

 しかしクラトルは、ポルシェ・ペンスキーがフロリダでの耐久レースで、フルシーズン参戦する2台のマシンに集中することを示唆した。これにはポルシェ963が信頼性を向上させるためのアップデートを受ける予定であることが考慮されている。

「それは予算的な問題でもある。グリッドに3台のマシンを並べるのは多くの面で素晴らしいことだが、再ホモロゲートされたトピックのすべてを揃え、さらに(来年1月の段階で)適切な量のスペアを用意するのは、我々とって非常に大きなタスクになる」

「(クルマが増えれば)私たちはそれに対応できないだろう」

ポルシェLMDhファクトリー・ディレクターのウルス・クラトル
優勝した6号車と2位となった7号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ) 2023年IMSA第10戦インディアナポリス

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