【連載コラム】第30回:3チームが0.5ゲーム差の大激戦 ア・リーグ西地区の優勝争いを制するのは?

写真:ア・リーグ西地区の優勝争いのカギを握るマリナーズ

MLBのレギュラーシーズンは残り2週間を切り、最終盤の戦いに突入しています。すでにナショナル・リーグ東地区ではブレーブスが6連覇を決め、ナ・リーグ西地区でもドジャースが直近11年間で10度目となる地区優勝。アメリカン・リーグ東地区はオリオールズが8、ア・リーグ中地区はツインズが3、ナ・リーグ中地区はブリュワーズが6とマジックナンバーを1ケタまで減らし、地区優勝へのカウントダウンが始まっています。

そんな状況のなか、上位3チームが0.5ゲーム差という大激戦を繰り広げているのがア・リーグ西地区です。日本時間9月20日の全試合が終了した時点で、首位アストロズは84勝68敗の貯金16。それを0.5ゲーム差でマリナーズとレンジャーズの2チーム(ともに83勝68敗の貯金15)が追いかけています。レンジャーズはすでにアストロズとの直接対決を終えていますが、マリナーズはまだアストロズとの対戦が3試合残っており、自力優勝の可能性を残しています。よって、残り10試合前後という状況ながら、まだ地区優勝へのマジックナンバーは点灯していません(注:アメリカでは自力優勝の有無をあまり気にしないので、残り10試合のアストロズがマジック11と表現するメディアや記者もいます)。

昨季王者のアストロズは、9月に入ってようやく今季初の単独首位に立ちましたが、17試合で7勝10敗とあまり調子が上がっていません。打線はメジャートップの月間OPS.856を記録しているものの、月間防御率4.83(メジャー20位)と投手陣に疲れが見え始めています。しかし、8月絶好調だったマリナーズも9月に入って打線が勢いを失い、7勝11敗と失速。レンジャーズも月間防御率5.96(メジャー28位タイ)と投手陣が崩壊し、8勝10敗と黒星が先行しています。3チームが激しく地区優勝を争っているというよりは、「譲り合っている」というほうが適切かもしれません。

こうした状況のなかで、優勝争いのカギを握るのはマリナーズです。マリナーズは明日でアスレチックスとの3連戦を終え、移動日を1日挟んでシーズン最後の10連戦がスタートします。その10連戦のスケジュールは、敵地でレンジャーズ3連戦→本拠地でアストロズ3連戦→本拠地でレンジャーズ4連戦。なんとシーズン最後の10試合が優勝争いのライバルとの直接対決なのです。

この10連戦をマリナーズが大きく勝ち越すようなら、2001年以来22年ぶりの地区優勝がグッと近づきます。一方、この10連戦で黒星を重ねるようなら、プレーオフ進出すら逃すことになるかもしれません(現時点ではワイルドカード2位のブルージェイズをマリナーズとレンジャーズが1ゲーム差で追っている状況)。

アストロズはマリナーズとの3試合のほかに、オリオールズと1試合、ロイヤルズと3試合、ダイヤモンドバックスと3試合というスケジュール。一方、レンジャーズはマリナーズとの7試合のほかに、レッドソックスと1試合、エンゼルスと3試合というスケジュールになっています。日程だけを見れば、借金52のロイヤルズとの対戦を残すアストロズや8月以降12勝33敗のエンゼルスとの対戦を残すレンジャーズが有利かもしれませんが、直接対決が多く残っている以上、結局のところは直接対決の結果次第ということになるでしょう。ア・リーグ西地区の優勝争いは最後の最後まで私たちMLBファンを楽しませてくれそうです。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

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