灯油117円、過去最高 山形・共同購入初交渉、消費者「厳しい冬に」

灯油の共同購入に向けた山形市消費者連合会とジャオの価格交渉=同市消費生活センター

 燃料費が高騰する中で迎える今冬を前に、灯油を共同購入している山形市消費者連合会と小売業のジャオ(同市)によるシーズン初の価格交渉が20日、市内で行われた。産油国の減産などで、ホームタンク用など今月末からの1リットル当たりの配達価格は過去最高額での合意。他の物価高とともに消費者は「仕方がないとはいえ厳しい冬になる」と口にする。

 山消連とジャオの交渉は、県内の冬場の灯油販売価格を決める一つの目安だ。ホームタンク用が117円、ポリタンク用が118円で、初交渉の昨年比はそれぞれ4円高い。ホームタンク用は原油相場が乱高下した2008年の116円をさらに上回った。

 ジャオは、燃料油の高値の要因について、石油輸出国機構(OPEC)プラスの主要産油国が協調減産を維持する方針を明らかにしていることや、円安の影響などを挙げた。当初はホームタンク用119円、ポリタンク用120円を示し、山消連の値下げ交渉で、提示額の2円安となった。

 ジャオは「政府の補助金効果で価格は下がっても、業者は高く仕入れた在庫を抱えている。すぐに市場に反映するのは難しい状況もある」と述べた。山消連の鈴木淳子会長は「妥当だと思う。冬を乗り越えるため、ぎりぎりの価格を死守したい」と話した。

 童謡「雪」のメロディーを流しながら灯油を宅配する「コンコン車」を運営する、千代田商事(山形市)の元木啓三・総合エネルギー部城北課長(52)は「重い灯油を玄関前まで届けて喜ばれているが、値段が上がるとガソリンスタンドなどで少しでも安く買おうとする人が増えるかもれない」と懸念する。

 酒田市のもとたて保育園では冬季間、エアコンと灯油を燃料とした床暖房を併用している。阿部明恵園長(47)は「子どもたちに寒い思いはさせられない。燃料費が上がっても保育の質を下げたり、保護者の負担を増やしたりはしたくない」。米沢市で特別養護老人ホームなどを運営する緑成会は、電力や重油の価格高騰に伴い、職員が使う管理棟は昨年度、灯油の暖房に切り替えた。昨年度の光熱水費は前年度比で1.5倍だ。ただ利用料への転嫁は難しい。

 長谷川大輔施設長(42)は「灯油価格まで上がるとなると率直に厳しい。補助金はありがたいが、高騰分はまかなえず、職員間で省エネ対策を重ねていくしかない」と話した。

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