阪神優勝、3年目で2桁勝利の村上「2年分の悔しさをぶつけています」 「アレ」のキーマンに聞く(2)

4月22日の中日戦で完封しプロ初勝利=バンテリンドーム

 プロ野球の阪神の18年ぶりセ・リーグ優勝をキーマンのインタビューで振り返る。シリーズ2回目はプロ3年目でブレークした村上頌樹投手。昨年まで勝ち星がなかったが、2桁勝利をマークして大きく貢献した。(共同通信=松澤勇人)

 ―ここまでのシーズンに達成感はありますか。
 「1軍にずっといられているので、達成感というか、貢献できているというのはあります。目標にしていた2桁(勝利)もできましたし、あとは規定(投球回)は到達したいですね」

 ―相手も研究してきていると思いますが、後半戦でも好成績が続いています。要因は何でしょうか。
 「フォアボールを少なくできているので、そこかなとは思います。無駄なランナーを出さずにいけているので。連打はそこまで続かない。バッターは(打率3割でも10回のうち)7回失敗するんで、(ストライク)ゾーンに投げていれば失敗の確率の方が高いんだから、投げとけ!みたいな感じです」

 ―いつからそのような考え方になったのですか。
 「(プロ初勝利を挙げた4月22日の)中日戦で完封した時ですね。最後に岡林を打ち取った時に3ボールまでいったんですけど、2点差だったので、ホームランを打たれてもまだ1点やん。フォアボール出して一発打たれたら同点なので、ヒットOKくらいな気持ちで。そこで去年最多安打の岡林を打ち取れて、大きな体験でした」

 ―印象的な対戦はありますか。
 「うれしかったのは、(8月11日のヤクルト戦で)満塁で迎えた川端さんですかね。ゲッツーがとれた。1対1で点をあげたくなかった場面で、すごいバッターを抑えられたのは良かったですね」

 ―4月12日の巨人戦では7回まで走者を許さない完全投球で交代しました。試合後に「降板は仕方ない」と話していましたが、次にノーヒットノーランや完全試合の機会があれば最後まで投げたいですか。
 「そうですね、最後までわがままを言いたいなと思います。一度は経験してみたいですね。あそこで代えられたのは悔しいですし、(マウンドを)譲りたくないという気持ちはずっとあるので、それはより強くなったという感じですね」

6月29日の中日戦でピンチを切り抜けガッツポーズ=甲子園

 ―防御率がリーグトップです。
 「防御率がここまで良いとは思っていなかった。出来すぎかなと思いますけど、一番取りたいタイトルですし、そこは素直にうれしいですね」

 ―過去2年はどういうシーズンでしたか。
 「1年目は1軍で全然ダメでしたし、去年は全く上がれなかったので、今年無理だったらクビかなと思いながら今シーズンに入りました。好きな野球を失いたくないので、そういう気持ちが一層強くなってここまでこられたと思います。1年目は(ストライクゾーンの)きわきわに投げないと打たれると思っていましたが、今はゾーン(の中)で勝負できている。オープン戦から1軍で投げさせてもらって、しっかりゾーンで勝負できたのが大きかった。シーズンに入ってもそのままいけました。今年こそ絶対やるという気持ちがめっちゃ強かったので、2年分の悔しさを今ぶつけています」

 ―他の1軍の投手に負けないところはどこでしょうか。
 「いやあ、ないですね…。コントロールは大竹さんの方が全然いいし、(伊藤)将司さんも。真っすぐも速くないですし。実戦派っす(笑)」

 ―去年まで主に2軍にいた村上投手と大竹耕太郎投手でチームを引っ張りました。大竹投手はどういう存在ですか。
 「全然負けないですし、先にずっと勝っていたので、早く追いつきたいなと思ってずっと投げていました。目の前に目標がずっとあったので、それは良かったと思います」

 ―同期入団の伊藤将司投手は3年連続で活躍しています。
 「すごいですし、やっぱり負けたくはないですね。自分もああいうピッチャーになっていきたいですね」

8月25日の巨人戦で8勝目を挙げる=東京ドーム

 ―理想の投手像はありますか。
 「負けない投手が一番ですね。点をやらないこと。点をあげなかったら負けることはないので。防御率は低ければ低いほどいい」

 ―知名度が上がってきたと感じることはありますか。
 「まあ、インスタのフォロワー増えたくらいですね。でも街中を歩いていてもそんなにばれないです。普通に大阪を歩いていても、阪神のユニホーム着た人の目の前を歩いていてもばれない」

 ―地元淡路島にも阪神ファンが多いと思いますが、島の人たちも喜んでくれそうですね。
 「地元の子も喜んでくれていますし、やっぱり1軍で出られているからテレビで見て言ってきてくれたりするので、そこはよかったですね」

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