燃油高止まり 漁師悲鳴 「出漁減らすしか」 近海に船集中、競争激しく 長崎県

買ってきた軽油を船に入れる與賀田さん=長崎市、深堀漁港

 燃油価格の高止まりが続き、さまざまな事業者が苦しんでいる。特に長崎県は、経済産業省が21日発表した19日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格が192円ちょうど。前週から50銭下がったものの2週連続して全都道府県で最も高かった。軽油も171円60銭と40銭の微減にとどまり、国内ワースト。軽油に頼る地元漁師から悲鳴が聞こえる。
 長崎市みなと漁協深堀支所所属、丸祐漁業を個人経営する與賀田祐さん(36)は一本釣りと、はえ縄漁をしている。船を購入した3年前と比べ「軽油の値段は2倍」と嘆く。2万円で300リットル給油できたのが今は200リットル足らず。少しでも出費を抑えるため、安いガソリンスタンドを探して買いに行き、20リットルタンク10個で持ち帰り船に補充する。
 漁に出るのは月7、8回。毎回午前3時ごろ、港から西へ約40キロの五島灘でアマダイやイトヨリ、レンコダイなどを釣り、夕方に帰港する。箱詰め後、約32キロ離れた同市京泊3丁目の長崎魚市まで軽トラックで運んでいるが、当然「陸路の輸送費もかさむ」。
 地球温暖化もあってか、近海では漁獲高が落ちてきた。「水温が低くて魚が多い沖で勝負したい。でも、燃料費が高くて遠くまでいけない」。近海に集まる漁船との競争が激化し「全てが悪循環」と肩を落とす。
 餌のサンマは不漁で値上がりした。その一方、原発処理水を巡る中国の水産物輸入規制のあおりで、国内流通量が増え、魚価は低迷。「どの漁師も苦しいはず。このままだと出漁数を減らすしかない」と言い、国や自治体の支援を待つ。

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