「45選手体制」で80日ぶり勝利。新生レイラック滋賀FCが加えた「わかりやすさ」とは?

9月16日に行われたJFL第21節。この夏に寺峰輝前監督を解任したレイラック滋賀FCは、菊池利三新指揮官の下で初勝利をあげた。

今季開幕前にMIOびわこ滋賀から名称を変更したレイラック滋賀FCは、5月までに5勝を記録するなどして快進撃を見せ、さらに天皇杯でもJ3のアスルクラロ沼津を撃破して話題を集めた。

昨季はJFLで最下位に終わりながら、FC大阪と奈良クラブがJ3に昇格したためにタナボタ式で降格を逃れたという立場。その後のシーズンで一時首位に浮上したという事実は良い意味で意外なものとして受け止められた。

しかしながら、6月に入ってからは一気に調子が降下。7月1日の東京武蔵野ユナイテッド戦のみしか勝利できず、順位も低下していった。

そして激動が走ったのはこの夏。9人もの選手を補強(そのうち井上航希がアスルクラロ沼津へと復帰している)し、メンバーは一時47名まで膨らんだ。

さらに夏の中断を終えた再開試合でブリオベッカ浦安を相手に引き分けたあと、寺峰輝前監督を解任。新たにヘッドコーチを務めていた菊池利三氏を新指揮官に据えた。

その初戦となったミネベアミツミ戦は2-2の引き分けとなったが、新体制第2試合目となったFCマルヤス岡崎戦でついに勝利をあげた。

試合開始から前線の守備がハマってペースを握ると、栃木SCから期限付き移籍で加入したDF面矢行斗が直接フリーキックを決めて先制ゴールを奪取。

さらに19分には速攻から榎本大輝が裏に抜け出し、スピードを生かして追加点を決めた。早い時間に2-0とリードを広げる。

その後2点を返されて追いつかれてしまったが、71分にはショートカウンターから榎本大輝が3点目を決めて再びリード。そのまま試合を終わらせ、およそ80日ぶりの勝利を手にした。

試合後、レイラック滋賀の監督となってから2試合目で初勝利をあげた菊池利三は以下のように話していた。

菊池利三

「待ちに待った勝利でした。みんなで勝ち取ったものだと思います。

相手は力のあるチームだとみんなが分かっていましたので、そこに対してどう立ち向かうか。

相手のボール回しが巧みだという点を想定していたので、それをわかりやすく全員で共有できるような守備のやり方をしたというのが、今日はよく出ていたと思います。

ただ、1点返されたところとか、プレー選択が間違っている部分もあった。それが相手にペースを持っていかれる時間を作ってしまったので、それを修正ポイントとしてハーフタイムに伝えました。もったいない失点があったことは来週に向けての課題ですね。

前からのプレスがハマってゴールに向かう場面は多かったです。そこからスプリントでペナルティエリアに入っていくことは練習から共有していた部分ですが、もっとできますし、まだまだ足りないですけども、今日は選手たちがよくやってくれました」

また、2つのゴールを決めて勝利の立役者となった榎本大輝も、得点に至った展開について以下のように話していた。

榎本大輝

「ボールを獲ったあとにすぐ前へつけるという狙いがあって、それが2つの場面でいい形にでて、たまたま僕が決められたというだけですね。本当に良かったです。

守備についてはみんなで前から行くというのは決めていたので、そこで統一してやれたかなと思います。

久々の勝利をみんなが噛み締めてますね。まだ上位に食らいついていける状況ですけど、連勝しないとそこにはいけないので。

もう今日のことは今日で忘れて、24日のラインメール青森戦に向けて勝ちにこだわっていきます」

全員で統一できるようなわかりやすさを持って戦ったことが、2つのゴールを生み出して勝利に繋がったという。選手が同じベクトルを向いた新たなレイラックの姿が見られたようだ。

ただその一方で2つの失点について菊池利三監督は「もったいないものだった」と語っており、守備面の安定を取り戻すことがこれからの課題になりそうだ。

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なお、レイラック滋賀FCはこの勝利によって順位を5位に上げており、Jリーグ参入に必要な2位までの勝点差を2に縮めた(ただ2位ソニー仙台は1試合消化が少ない)。

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