奥田元宋・小由女美術館展が開幕 岡山、風景画と人形の優品61点

元宋さんの大作「綵苑」が目を引く特別展会場

 日本画家奥田元宋さん(1912~2003年)と妻で人形作家の小由女さん(1936年~)の創造の軌跡をたどる特別展「奥田元宋・小由女美術館展」(岡山シティミュージアム、テレビせとうち、山陽新聞社主催)が22日、岡山市北区駅元町の岡山シティミュージアムで開幕した。ともに文化勲章を受章した夫妻による優品の共演が、訪れたファンらを魅了している。

 奥田元宋・小由女美術館(三次市東酒屋町)の改修休館に合わせて企画。約200点の収蔵品から、「元宋の赤」と呼ばれる独特の赤色で彩られた風景画、細部まで装飾が施された小由女さんの人形を中心に計61点を厳選した。

 元宋さんの「煌(こう)」は、細く鋭い三日月を浮かべた夜の闇の中で、輝くような赤い山がそびえ、現実と幻想の入り混じった世界を広げる。小由女さんが新型コロナウイルス禍の中で制作した「命を守る」は、青い衣装をまとう母子と女性の静かなたたずまいに、不安な社会に安らぎを届けたいとの思いが息づく。屏風仕立ての風景画の前にほのぼのとした母子像が立つ夫妻の合作「春陽清韻」も、入場者の注目を集めていた。

 「煌」が気に入ったというパートの女性(68)=倉敷市=は「さまざまな赤と夜空の深い緑のコントラストが美しく、ずっと眺めていたくなる。ともに芸術家として高め合ってきた夫妻の歩みにも感動しました」と話していた。

 一般公開に先立ち開会式があり、小由女さんや松田正己山陽新聞社社長らが「日本画の平面と人形の立体という異なる芸術様式の共鳴を存分に楽しんでほしい」とあいさつ。主催者ら5人でテープカットした。開幕後には小由女さんのギャラリートークも行われた。

 11月12日まで。月曜(祝日の場合は翌日)休館。

奥田元宋さんの華やかな風景画に見入る入場者
テープカットする主催者ら

© 株式会社山陽新聞社