【MLB】 最悪のブルペンから最高のブルペンへ レイズのブルペンがシーズン中に劇的変貌

写真:防御率0点台のアームストロング

ここまで94勝を挙げ、今季もプレーオフ進出を目前としているタンパベイ・レイズ。レイズといえば、無名のリリーバーをエリート級に化けさせる投手工場として知られている。

今季もそのブルペン陣が原動力となったのかと思いきや、シーズン最初の2ヶ月間のレイズのブルペンは実はワーストから数えたほうが早いクオリティだった。

チームはシーズン最初の2ヶ月で絶好調だったにも関わらず、ブルペンの奪三振率はメジャー最下位、防御率はアスレチックスの6.23に次ぐ29位に低迷していた。

では、最初の2ヶ月を除く6月以来、メジャー最高の奪三振率を記録しているブルペンはどのチームなのか?

タンパベイ・レイズだ。

それだけではない。9月のレイズブルペンは、1969年の地区制開始以降では、どのシーズンのどのチームのどの1ヶ月間よりも、高い奪三振率を記録しているのだ。

レイズのブルペンはなぜここまでの劇的な変化を遂げられたのか。『MLB.com』のマイク・ペトリエロが特集している。

レイズのブルペンは開幕から大きくメンバーが入れ替わっている。それを象徴するかのように、ペトリエロが選んだブルペンの“ビッグ・ファイブ”のうち、3人が開幕ロスターにはいない投手だった。

まず挙げられるのがシーズン途中から加入したロバート・スティーブンソンとジェイク・ディークマンだ。

スティーブンソンはパイレーツで防御率5.33と悪い数字を残していたが、トレードでレイズに移籍してから覚醒。9月は脅威の奪三振率52%を記録している。

覚醒の要因はこれまで投げていたスライダーをより小さく速くしたカッターに変更したこと。レイズお得意の“魔改造”の象徴的な成功例となっている。

ホワイトソックスで開幕を迎えたディークマンは防御率7.94と大不振に陥り、リリースされていた。ほぼタダでディークマンを拾ったレイズが行ったのは、球種を4シームとスライダーに絞るということ。

するとディークマンもスティーブンソン同様に面白いように覚醒し、レイズ移籍後は奪三振率29%を記録している。

さらに、新戦力のみならず、元々いた投手の改善も大きくブルペンを助けている。

中でも、元々ブルペンの重要戦力だったピート・フェアバンクスはさらなる成長を遂げた。5、6月を故障で棒に振り、前半戦は低調(奪三振率25%)だったが、後半戦になってからは防御率1.13を記録した昨年以上の水準に状態を上げてきた。後半戦の奪三振率46%は、前述のスティーブンソンを上回ってメジャー1位の数値だ。

さらに4月の奪三振率8%から9月は38%まで上げてきた左腕のコリン・ポーシェ、6月上旬からブルペンに加わって防御率0.74を記録しているショーン・アームストロングも、9月のレイズブルペンを支えている。

ローテーション投手の大半を失い、正遊撃手のワンダー・フランコも失うなど、レイズは波乱万丈のシーズンを送っている。しかし、覚醒した最強のブルペンがレイズをプレーオフでの躍進に導くかもしれない。

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