プロ野球阪神の18年ぶりリーグ優勝を振り返るインタビュー連載。3人目はシーズン途中から抑えに定着した岩崎優投手。優勝を決めた9月14日の巨人戦でも最後を締めくくった。(共同通信=松澤勇人)
―初めての優勝は格別ですか。
「やっぱり勝てていることはうれしいですよね。たくさんの人が喜んでくれますし、やりがいを感じたシーズンではあるかなと思います」
―2年前は僅差で優勝を逃し、「あの時の自分の一つの負けがなければ」と話していました。今年に生きたところはありますか。
「終わってしまったことはどうにもできないので、今年負けが2回つきましたけど、切り替えてというか、受け入れてというか、うまく次につなげていくようにはしましたね」
―今年取り組んだことで手応えを感じていることはありますか。
「同じ球種で緩急をつけたりとか、打者の反応を見ながらやったりとか、テンポをちょっと変えたりとか」
―長打が例年に比べて少ないです。
「できるだけそうならないようなボールの選択をしているので、ホームランは何本かありましたけど、トータルでは良い選択ができているのではないかなと思います」
―ブルペンを引っ張っていくぞという自覚は。
「それは去年ぐらいから思ってはいますね」
―若い投手が多い中で、どのようなことを意識していますか。
「雰囲気づくりは岩貞(祐太)だったり、加治屋(蓮)だったりがうまくやってくれている感じはしますね。自分は試合の中でのことをアドバイスしたりするようにしています。気づいた点があればできるだけ早く伝えるようにしています」
―今年の救援陣は、抑えの岩崎投手以外は役割が固定されていません。固定してないからこその強さがあるのでしょうか。
「コンディションはいい状態でマウンドに上がれているんじゃないですかね。あがり(当初から登板予定がない日)とかを有効に使いながらやってくれているなっていうのは感じますね」
―プレッシャーがかかる抑えで、きょうはマウンドに上がりたくないと思ったことはありますか。
「ないですね。今年はないです。まあ、きょうの仕事だなぐらいの。毎日同じ感じです」
―こういう守護神でありたいという理想型はありますか。
「ないですね。できないことはできないので。ものすごい球を投げたり、すごい変化球で三振を取ったりすることはできないので、自分にできることをしっかりマウンドで出す。それだけですね」
―「ブルペンで勝つ」が合言葉でした。
「(相手にリードされている)ビハインドや同点でいくピッチャーが頑張ってくれたので、最後自分が頑張って締めなきゃという気持ちにもなりますし、皆が頑張ったシーズンだったと思います」
―岡田監督はどういった存在ですか。
「特に変わったことはないんですけどね。よく『普通にやるだけ』とおっしゃってましたけど、自分にできることをしっかりとやるだけというか、余計なことを考えなくなりました。うまくいかなくてもそれは仕方ないことだし、また次しっかりやればいいと。毎回完璧な人はいないですし。失敗しても次に切り替えるというか、そういうのはあると思います」
―監督が「アレ」と言っているのはどうでしたか。
「みんな結構、言っています。よかったんじゃないですか。そういう言葉に置き換えてくれて」
―チームとして優勝をつかみ、次は個人のタイトルでしょうか。
「展開で左右されるものなので、自分ではどうしようもできないですけど、任されたとこでしっかりやるっていうのは、これからも変わらないと思います。その上で取れたらいいかなぐらいの感じですね」
―同期入団の横田慎太郎さんが7月に亡くなりました。その後どんな思いで試合に臨んでいますか。
「試合に臨むという点では普段と変わらないんですけど、試合から離れたときに思い出すことはあったりして、そういうところで引き締めさせられるということは多いですね。本当に、ふとしたときですね。家に帰っているときとか。トレーニングしているときとか。(頭の中の)どこかにいて、頑張らないといけないなってさせてくれるというか」
―追悼試合の時には「一番いい報告を」と言っていました。
「あのときはあんまり大きなことを言っちゃいけないなと思って、ああいった表現にしたんですけど、本当にこういう形になって良かったなと思います」
―次はクライマックスシリーズ、日本シリーズです。
「そこがアレですよね、本当の」