政策変更は賃上げ最重視 大規模緩和の維持決定

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の植田総裁=22日午後、日銀本店

 日銀は22日の金融政策決定会合で、金利を極めて低い水準に抑える現行の大規模な金融緩和策の維持を決めた。植田和男総裁は会合後に記者会見し、政策を変更する際の判断材料として、賃金上昇が「最重要な要素の一つだ」と説明。来年の春闘で賃上げが継続するかどうかを重視し、マイナス金利政策の解除や長期金利操作の撤廃を検討する方針を示した。

 植田氏は「企業の賃金・価格設定行動の一部に従来よりも積極的な動きが見られ始めている」とも説明したが、政策変更の時期や具体策については「経済・物価を巡る不確実性は極めて高く、到底決め打ちはできない」と明言を避けた。

 日銀は、賃金の上昇を伴う形で物価上昇率を2%に安定させる目標を掲げている。植田氏は「実現を見通せる状況には至っていない。粘り強く金融緩和を継続していく」と述べた。

 日銀は7月の前回会合で、金融緩和によって市場で決まる金利にゆがみが生じる副作用を抑えるため、長期金利の上限を0.5%から1%に引き上げた。

 足元の長期金利は0.7%台で推移している。

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