2021年王者がポール・トゥ・ウイン。バリチェロ、ゾンタも表彰台を獲得/SCB第8戦

 春を迎えた南半球で、シリーズ終盤戦に突入する2023年SCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”の第8戦が、9月15~17日の週末にアウトドローモ・インテルナシオナル・ド・ヴェロパークで開催され、予選を制圧した2021年王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が、日曜オープニングヒートでポール・トゥ・ウインを達成。

 続くレース2では前戦ゴイアニア同様、アッティラ・アブレウ(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)が2イベント連続の勝利を飾りキャリア通算19勝目をマークするとともに、表彰台の両脇をリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)とディフェンディングチャンピオンのルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)の元F1組が固める結果に。その両名ともが、熾烈なタイトル争いの主役を張り続けている。

 歴史上600戦目を数える節目のイベント『GPシルバラード・ストックカー600』を終えたSCBの一行は、季節外れの猛暑に見舞われたブラジル南部リオグランデ・ド・スルの州都ポルト・アレグレでの週末を迎えた。

 ここでライバルに対し先手を取ったのが自身2度目の王座を目指すカサグランデで、土曜午後のノックアウト予選では上位22台の差が0.5秒未満という勝負を経てQ3最速の輝きを放ち、今季初の複数ポールポジション獲得者になると同時に、キャリア通算9回目の最前列を手にした。

「ポールポジションにはとても満足しているし、幸せな結果だ。ゴイアニアで大惨事に見舞われた後でも、素晴らしい準備を整え、マシンを整備してポールを獲得できるクルマを届けてくれたチームに感謝している」と前戦では赤旗起因のクラッシュに巻き込まれ、そのままレースを終えていたカサグランデ。

「クルマはとても良かったし、その成果を存分に解き放つことができた。このポールは彼らに捧げたい。昨季に続いて予選最前列獲得を再現できたが、明日も2年連続勝利を狙い、ステージ内で最高ポイントを獲得できることを願っている」

 明けた日曜正午を過ぎて開始された30分+1周のレース1は、気温35度で現地体感が39度、路面温度は50度にも到達しようかという厳しいコンディションのなか、フェリペ・フラーガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)や新鋭ジャンルカ・ペテコフ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)らを抑え切ったカサグランデが、義務ピットを挟んで有言実行の“ライト・トゥ・フラッグ”を決めてみせた。

週末最大の脅威は、気温35度で現地体感が39度、路面温度は50度にも到達しようかという厳しいコンディションとなった
予選を制圧した2021年王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が、日曜オープニングヒートでポール・トゥ・ウインを達成
わずか10分に満たないインターバルで実施されるレース2に向け、各陣営とも思わぬ問題が頻発する

■レース2はバリチェロとアブレウの一騎打ち。酷暑でのトラブルも

「天気のせいでとても複雑な週末だった。僕らは車内で多くの苦しみを経験し、マシンも多くの困難を経たが、それでも準備は万全だった。昨日はポールポジション、今日は勝利という昨年の成功を繰り返し、ランク2位と20ポイント以上の差をつけチャンピオンシップの首位に返り咲いた。残り3分の1の終盤戦を迎えるにあたりとても良い状態にあるし、2度目のタイトルを目指すよ」と、今季2勝目、キャリア通算9勝目を獲得し、所属先と2024年までの契約延長を果たしたカサグランデ。

 続くトップ10リバース採用のレース2でも暑さが災いをもたらし、週末を前にしたポイントリーダーでもあったシリーズ3連覇のダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が、リバースポール発進の好機を前に問題を抱えることに。過度の熱によりエンジンに不具合が生じたシボレーは、突如“セーフモード”に入り棄権せざるを得ない状況に。

 これでレースは2番手発進のバリチェロと、背後の3番手でスタートを切ったアブレウの一騎打ちとなり、決定的となったピットストップで前戦ウイナーが逆転。2位バリチェロの背後には15番手スタートから見事な戦略で這い上がったゾンタが続くポディウムとなった。

「ここの暑さは異常だった。こんなに暑いコースでレースをしたのは初めてだと思うよ」と、2021年以来の復活勝利でもあった記念すべき600戦目に続く2戦連続勝利を飾ったアブレウ。

「さらにヴェロパークは非常にクローズドなコースで、車内の空気循環が少ないから、余計に暑さに悩まされるんだ。でも自分のコンディショニングにはとても満足しているし、たとえ疲れていてももう1本走りたいと思っている(笑)」

「それにレース1を終えて少し多めに給油しておいたことがアドバンテージになった。とてもいいペースでルビーニョをアンダーカットできたし、古いチームメイトで素晴らしい速さを持つゾンタと表彰台を祝えたのも最高だったね」

 これで今季スタンディング上でもカサグランデが首位に浮上し、そこから21点差でバリチェロ、さらに2点差でゾンタが並ぶ展開に。続くSCB第9戦は6年ぶり復活がアナウンスされた隣国アルゼンチンとの相互交流戦『ブエノスアイレス200km』が、同国首都に位置するアウトドローモ・オスカー・ファン・ガルベスにて10月6~8日に開催される。

リバースポールを得ていたシリーズ3連覇のダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)は、熱の問題でエンジンが“セーフモード”に
レース2は2番手発進のバリチェロと、背後の3番手でスタートを切ったアブレウの一騎打ちに
「ここの暑さは異常だった。こんなに暑いコースでレースをしたのは初めてだと思うよ」と、記念すべき600戦目に続く2戦連続勝利を飾ったアッティラ・アブレウ(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)

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