台風15号 記録的豪雨から1年 静岡市の大規模断水や批判集めた“行政対応” 対策はどこまで進んだ?(静岡県)

2022年の台風15号で大きな被害を受けた静岡市では、浮彫になった課題があります。それが「大規模断水へ対策」と「行政の対応」、どのような対策が進められているのでしょうか。

まずは「大規模断水」についてです。

2022年、静岡市清水区では最大で約6万3千世帯が断水し、全てが復旧するまでに12日間かかりました。その原因は、興津川にある承元寺取水口が土砂や流木などによりふさがってしまい、取水できなくなったためです。

静岡市は緊急対策として8月、取水口の上部を鉄製のふたで覆う工事を行いました。この工事により土砂や流木の流入を防止することができるということです。

清水区では、水源の8割を承元寺取水口に頼っていたため、断水の長期化の要因ともなりました。そのため静岡市は、新たな水源を探そうと水源検討部会で検討を進めています。

また、断水に備えるため、井戸を持つ家庭や企業に、災害時に市民に水を提供してもらう「災害時協力井戸」制度への登録を呼びかけています。ただ、登録されている井戸は静岡市内で5件にとどまっています。

静岡市では「行政対応」も大きな課題として残りました。

当時の田辺市長は、初動の対応が遅れたことや「必要な情報が発信できなかった」ことへの批判が集まり、市長選への出馬を断念する事態となりました。

そのため、4月に就任した難波市長は、災害時の初動対応を重視しています。

市の災害対策本部の設置について、2022年9月の台風15号の時は、雨が止んだ後の24日午後1時でしたが、2023年6月の台風2号の時には、大雨警報が出ている午後2時すぎに設置しています。

また、災害時に必要な情報収集や発信ができなかったことを受け、静岡市ではSNSの情報やAIを利用して被害状況を把握する「災害時総合情報サイト」の構築も進めています。

こうしたソフト面の対策だけでなく、駿河区下川原地区の地下にある「雨水貯留管」の有効活用も検討しています。雨水貯留管は、川の水位が高くなった際に雨水の一部をためておく施設です。

これまで雨水は、雨が上がった晴天時に河川に放水していましたが、今後は雨が降っているときでも、河川に余裕があれば排水をして、少しでも雨水をためられるような対策を試験的に始めています。

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