酔った勢いで〝不都合な真実〟を相手に漏らしてしまった時、あなたならどうする?夫婦間でのささやかな秘密がばれて気まずくなった時の対策について、「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏が解説した。
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【今回のピンチ】
妻と久しぶりの外食。ほろ酔いで「いつだったか居酒屋で、いきなりナマハゲが登場して驚いたよね」と言ったら、冷たい口調で「それは私とじゃない」と言われた……。
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ウカツなことを言ってしまいました。よく考えたら、ナマハゲが登場する居酒屋に行ったのは、妻とではなく別の女性とです。しかも、それは結婚後のことでした。
対応を間違えると、大ごとに発展しかねない大ピンチ。おそらく、すでに妻は「ほかの女性と行ったんだな」と察知しているでしょう。さて、どう切り抜ければいいのか。
「いやいや、一緒に行ったじゃない! やだなあ、忘れちゃったの」と言い張るのは、あまりにも無理があります。実際には行っていないので、「私じゃないって言ってるでしょ!」とケンカになる展開しか見えません。
腹をくくって「ごめん。キミと付き合う前に別の女性と行ったんだった」と、微妙なウソを混ぜつつ正直っぽい告白をするのも、いい結果にはつながらないでしょう。妻としては、記憶の中で自分とほかの女性をごっちゃにされたわけで、しかもそれを堂々と白状されたら、さぞ不愉快になるはずです。
ここは、わざとらしく響くことを恐れずに、見え透いた嘘をつくのが精いっぱいの誠意。さも「ああ、うっかりしてた」といった態度で、額を手で叩くぐらいのことをしつつ、
「そうだ!会社の飲み会で来たんだった。いやあ、歳は取りたくないもんだね」
なんてことをシレッと言い放ちつつ、「ほら、この刺身おいしいよ」とか何とか言って話を変えましょう。無難な結論に着地させれば、妻も「これ以上追及してもしょうがないか」と思って、矛を収めてくれるはず。
ま、日頃の行ないが悪かったりしたら、ネチネチと責められる可能性はあります。妻が露骨に不機嫌になって、せっかくの外食が気まずい雰囲気に包まれるかもしれません。
そこで「しつこいな!」とキレたら、ますます取り返しのつかない事態になります。すべては自業自得。しおらしい態度で責められ続けたり、気まずさに耐えたりするのも、ピンチを乗り切る方法のひとつではあります。
(コラムニスト・石原 壮一郎)