日本テレビがスタジオジブリ子会社化 きっかけは宮崎吾朗氏の社長就任固辞から 

日本テレビがアニメ制作会社スタジオジブリの株式を取得し、子会社化することが21日、両社から発表された。

発表リリースではまずジブリの子会社化を発表し、「スタジオジブリは、今年7月、宮﨑駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』を7年の歳月をかけて完成させ、劇場公開を果たしました。おかげさまで多くのお客様に足を運んでいただき、数々のご評価をいただき深く感謝申し上げます。そんなスタジオジブリではありますが、監督宮﨑駿は82才、プロデューサーの鈴木敏夫も75才となり、長らく悩んできたのが後継者問題です」と経緯の説明を始めた。

続いて「これまで、スタジオジブリを受け継ぐものとしては、創業者である宮﨑駿監督の長男であり、自らもアニメーション映画監督である宮崎吾朗の名前が何度か候補に上がってきました。しかし、宮崎吾朗自身としては、『一人でジブリを背負うことは難しい、会社の将来については他に任せた方が良い』との考えから、それを固辞してきました」と明かした。

「そのため、スタジオジブリでは経営を誰かに任せられないかと、その候補を巡って様々に検討してきました。そのような経緯を経て、先般、永年にわたり親しく付き合いのあった日本テレビとスタジオジブリの間で話し合いが始まったのでした。昨年某月のこと、スタジオジブリの鈴木プロデューサーと日本テレビの代表取締役会長執行役員 杉山美邦とが、とある温泉場でゆっくり時間をかけて話をする機会がありました。その際に、鈴木から『ジブリがこれからも映画づくりに集中するために、経営を日本テレビで手伝ってもらえないか』と申し入れたのです。これに対し、杉山が、『今後ともジブリ作品を応援し、ジブリが映画を作り続けられる環境を守ることになるならば』と、これを前向きに検討することを約したのがきっかけでした」と説明した。

日本テレビは、1985年に「風の谷のナウシカ」(1984年、宮﨑駿監督)をテレビ初放映して以来、映画番組「金曜ロードショー」を通じてスタジオジブリ作品を放送。「魔女の宅急便」(1989年、宮﨑駿監督)からは映画製作に出資したのをはじめ、2001年に開館した「三鷹の森ジブリ美術館」の設立を支援するなど、永年にわたってスタジオジブリと歩みを共にしてきた。

「日本テレビとしては、国内はもとより海外でも多くの人に愛される作品を生み出してきたスタジオジブリを子会社にしてこれまで以上に支援していくことは、日本テレビグループ全体の企業価値の向上に大いに資するものと考えました」とした上で、「これまでスタジオジブリの価値観を尊重しながら長く付き合いを続けてきた日本テレビだからこそ、スタジオジブリの『もの作り』やブランド価値を永続的に守ることができると確信したのでした。そして、協議を重ねた結果、本日開催の両社の取締役会において、スタジオジブリが日本テレビの子会社となることを決議しました」と報告した。

説明によると、日本テレビがスタジオジブリの株式の取得を進め、議決権所有割合42.3パーセントの筆頭株主になり、日本テレビから役員が派遣されスタジオジブリの経営をサポートする。一方、日本テレビはスタジオジブリの自主性を尊重し、スタジオジブリは今後ともアニメーション映画の制作、ならびにジブリ美術館、ジブリパークの運営に専念していく方針だという。

リリースは「皆様におかれましては、新生スタジオジブリの活動をこれまで以上にご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします」と締めくくられた。

(よろず~ニュース編集部)

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