「都市伝説」ではなかった優勝セール まるで満員電車に乗ったかのような人混み

来年1月に閉店する一畑百貨店

 フロアはまるで満員電車に乗ったかのような人混みだった。先日の3連休を利用して家族で大阪に出かけた。プロ野球阪神がセ・リーグ制覇を決めた2日後。優勝セールが始まった阪神百貨店梅田本店はどこも大盛況で、8階の球団オフィシャルショップへ向かう長蛇の列もできていた。

 今春まで大阪で学生生活を送った娘いわく、「ここに人がこんなにいるのを初めて見た」。前日のテレビニュースでは、男子高校生が「優勝セールは都市伝説だと思っていた」と驚いていた。無理もない。18年ぶりの優勝なのだから。

 百貨店といえば最近は暗いニュースばかりだった。そごう・西武の売却に反対し、従業員の労働組合が8月31日、東京都豊島区の西武池袋本店でストライキを実施。大手のストは61年ぶりで、全国的な注目を集めた。同じ日、約30年営業を続けた広島市中区のそごう広島店新館が閉店した。

 そして、山陰ではJR松江駅前にある一畑百貨店の来年1月14日の閉店まで4カ月を切った。跡地利用を巡ってテナント誘致を試みているものの、後継のめどは立っていないという。

 思えばコロナ禍前の一畑も大型連休恒例の催事などでは、今回の阪神に劣らないにぎわいを呈していた。一定の集客力はあるはずだ。松江市はJR松江駅周辺整備の構想策定に向けた検討組織を年内に立ち上げる方針を決めた。一等地を遊ばせておくのはもったいない。

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