首相の経済対策発注「パッケージも立てれば柱に…」 霞が関は懸念とやゆ

岸田文雄首相(資料写真)

 岸田文雄首相は国連総会出席のため訪れている米ニューヨークで記者会見し、政府の「新たな経済対策の柱立て」を10月中に取りまとめ、物価高対策に「一意専心」で臨む方針を表明した。改造効果が乏しかった内閣支持率の上昇を狙うが、海外からの発注に霞が関では「『政策パッケージ』連発の次は『柱』だが、本当に立つのか」(内閣府スタッフ)と懸念が広がる。

 関係者の話を総合すると、首相の出国を前に財務省などには「帰国後に首相が経済対策について閣僚に指示を出す」と事前情報があったという。実際、首相は20日の会見で「賃上げと投資を加速しなければならない」と表明。松野博一官房長官も翌21日の会見で「日本経済は賃上げや投資など新たなステージに入れるかの正念場だ」と付言した。

 岸田首相が就任以来、繰り返す「賃上げと投資の加速」には、野党から批判の声が上がる。「実行の主体が賃上げは企業、投資は国民。首相は政府がお願い主体の二次的な立ち位置であることを強調し、責任転嫁をもくろんでいるから」(立憲民主党議員)という。

 「パッケージも立てれば柱に変わるだろう」。官僚の間ではそんなやゆが飛ぶ。「新たな素材がない。『柱立て』とは言っても現状では『NISA(少額投資非課税制度)拡充』とかこれまでに決まった施策の寄せ集めや焼き直しになりかねない」とささやかれる。自民内からは「20兆円規模に」との掛け声も出るが、財源は見通せない。

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