夏も冬も欠かせないエアコン!どうやって室内を冷暖房できるの?【図解 化学の話】

生活するうえでエアコンは欠かせない存在に

高地や寒冷地でない限り、エアコン(エアコンディショナー)は必需品ですね。そのエアコンが、室内の空気を冷やしたり温めたりするには、気体を圧縮すると温度が上がり、膨らむと温度が下が特性を生かして冷房・加熱するヒートポンプ技術が欠かせません。では、まず冷房についてです(図1)。エアコンはご承知のように室内機と室外機が合わさって機能を果たします。まず室内機の熱交換器が室内の空気熱を集め、冷媒に乗せる。冷媒は室外機に送られ、コンプレッサー(圧縮機)が圧力を掛け高温にする。高温になった冷媒は室外機の熱交換器を通り、ファンによって熱を戸外へ放出する。熱を放出した冷媒は減圧機によって低温となり、低温の冷媒は室内機に送られる。低温となった冷媒は熱交換器を通って室内に冷風を吹き出す(冷房)、という仕組みです。

暖房(図2)はその逆の動きをするものです。室外機の熱交換器が外気の熱を集め、冷媒に乗せる。冷媒は圧縮機に送られ、コンプレッサーが圧力を掛け高温にする。高温になった冷媒は室内機の熱交換器を通り、室内に温風を吹き出す(暖房)。熱を放出した冷媒は室外機に送られ、減圧機によって低温になる。低温の冷媒は室内機に送られる。低温となった冷媒は室外機の熱交換器でまた外気の熱を集める。その循環の繰り返しですね。エアコンが冷房する仕組みは、冷蔵庫によく似ています。ということは、冷媒問題が生じるわけです。冷蔵庫の頃でも述べましたが、特定フロン(クロロフルオロカーボンCFC)が製造を禁止されたことで、エアコン業界でもオゾン層を破壊しない代替フロンが使われるようになった。水素原子を含むハイドロクロロフルオロカーボンHCFC、ハイドロフルオロカーボンHFCなどです。ところが、まだ問題がある。これらの化学物質はCO2より温室効果があるからです。そこでいま使われているのは、HFC類の中でも地球温暖化に影響がもっとも少ない冷媒R32です。R32は単一成分からなる冷媒のため冷媒機能が安定しているそうです。おそらく、今後も研究が促進され、無害で有用な冷媒や冷媒代替物が開発されていくのでしょう。

エアコンが冷房する仕組み

室内の空気熱を室内機の熱交換器が集積して冷媒と混合→冷媒は熱交換器で室外機の圧縮機へ→冷媒は圧力を掛けられ高温に→高温の冷媒は室外機の熱交換器へ→ファンで戸外に熱放出→熱を放出した冷媒は減圧機で低温に低温の冷媒は室内機へ→低温の冷媒は熱交換器で通って冷風を室内に吹き出して冷房。

エアコンが暖房する仕組み

室外機の熱交換器が外気の熱を集めて冷媒と混合→冷媒は圧縮機へ→冷媒に圧縮機が圧力を掛け高温に→高温になった冷媒は室内機の熱交換器へ→熱交換器を通った高温の冷媒は室内に温風を吹き出し暖房。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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