発がん性指摘の有機フッ素化合物、兵庫・尼崎でも10人中2人が基準超え 調査の県議、市に現状把握要請

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 発がん性などが指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)について、兵庫県尼崎市民10人中2人の血液から米国の基準値を超える数値が検出されたとして、調査した丸尾牧県議(尼崎市選出)が22日、松本真市長に現状把握などを求める申し入れ書を提出した。

 調査は7~8月、京都大の小泉昭夫名誉教授(環境衛生学)に依頼し、尼崎市民10人と明石市民9人を対象に実施。尼崎市では2人が、健康へのリスクが高まるとされる米国の基準(7種類のPFASの合計値が1ミリリットル当たり20ナノグラム)を超え、うち1人は緊急に対策を取るべきとするドイツの基準も超えていた。

 一方で、6人がドイツの基準を超過するなどした明石市での調査に比べ数値は低かった。小泉名誉教授は「PFASの数値は水道水が要因の一つと思われるが、原因とは断定できない」と指摘。尼崎市は、西宮市や神戸市など5自治体で構成し、淀川から取水する阪神水道企業団の水道水を全域で使用しており、丸尾県議は「問題は尼崎にとどまらない」として、水道水の基準強化を国などに働きかけるよう求めた。

 尼崎市によると、水道水における2種類のPFASの合計値は、2020年の調査開始以来、国の目標値(暫定)を下回っているという。(広畑千春)

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