虫が良すぎる税制提言

 日本経済団体連合会の十倉雅和会長は来年度税制改正の提言に社会保障財源として消費税の更なる引上げを挙げたことに「社会保険料は現役世代に負担が偏重する性質のものであるため、社会保障財源を社会保険料だけに求めていては賃上げの効果が減殺される」などとし「社会保障制度の持続可能性を堅持するためには経済情勢を踏まえながら、基幹3税(消費税、法人税、所得税)などを含め、税と社会保障の一体改革を行う必要がある」と強調した。

 しかし、経団連は法人税に関しては「国内投資拡大を後押しする大胆で強力な税制措置を」と優遇策を求めており、所得税に関しては特に「金融所得課税」について「高齢化社会における金融資産の効率的な運用、金融資本市場の活性化、企業の円滑な資金調達等の観点から実務面の課題に十分配慮し緩和や先送りを」と求めるなど、虫が良すぎるのでは、との批判が出ている。

 十倉氏は「消費税には逆進性の欠点があるが、社会全体で広く薄く負担できるという利点もある。経団連は今後のわが国の人口構成も踏まえたうえで、様々な税目を議論の対象とし、応能負担のあり方を検討すべきと提言している」と記者団に答えた。取組むなら法人税、所得税について応分の負担へ切り込む議論が求められる。(編集担当:森高龍二)

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