スコールにより大幅ディレイとなったスプリント。M.マルケスが開幕戦以来の3位獲得。優勝はマルティン/第13戦インドGP

 9月23日、2023MotoGP第13戦インドGPのスプリントレースがブッダ・インターナショナル・サーキットで行われた。雨が降った影響で各セッション時間がディレイとなった土曜日、11周のレースで優勝したのはホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)。また、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が開幕戦ポルトガルGP以来となる3位を獲得した。

 MotoGP初開催のインドGPは金曜日の走行後、各レース周回数が変更された。土曜日午前中に行われたフリープラクティス2の国際中継で表示された情報によると、「金曜日の暑さと湿度と予想されるコンディションについてのセーフティ・コミッションでのライダーたちからのフィードバックとタイヤサプライヤーのフィードバック、そして初開催のサーキットであることを鑑み、レースディスタンスの短縮が決定された。(マイク・ウェブ/MotoGPレースディレクター)」と説明されている。この決定により、スプリントレースについては当初予定されていた12周から11周に短縮された。

 レースディスタンスのほかにも、Q1セッション前にトラックコンディションを理由にセッションがディレイとなるなど、スケジュール進行に遅れが出る状況も見られた。

 こうした状況のなか、Q2でポールポジションを獲得したのはマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)だった。2番手はホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)、3番手はフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が入り、フロントロウはドゥカティライダー、そしてチャンピオンシップのランキングトップ3が占めた。

 また、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)が5番手で、今季自己ベストグリッドを獲得。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)も6番手に続き、レプソル・ホンダ・チームのふたりが2列目に並ぶこととなった。

 なお、Q1で2番手となってQ2進出を決めたアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)は、Q1の終盤に喫したハイサイドのためにQ2を走らなかった。チームによれば、アレックス・マルケスは左側肋骨の骨折を負ったということだ。この怪我により、アレックス・マルケスはインドGPを欠場となった。アレックス・マルケスは検査のために病院に向かったが、その後サーキットに戻り、インタビューに応じるなどしていた。

 その後、Moto3クラスのQ2前にスコールが降り、このためセッションディレイとなった。約45分遅れでセッションは再開。Moto2クラスのQ2後、MotoGPクラスのスプリントレース前に、初開催のサーキットでこれまでにウエットコンディションでのセッションがなかったことを理由に15分間の『ウエット・セッション』が設けられた。ただ、路面状況は回復傾向にあり、セッション後半はほとんどのライダーがスリックタイヤで走行していた。このウエット・セッション終了後、さらにスプリントレースのスタートがディレイ。路面がドライコンディションに回復するのを待つためだと思われる。

 こうして現地時刻17時すぎに始まったスプリントレースの状況は、気温27度、路面温度31度。ミシュラン提供のタイヤ選択情報によると、全ライダーがフロントにスリックのミディアムタイヤ、リヤにソフトタイヤをチョイスしたということだ。

 スタートでトップに立ったのはマルティンだったが、その後方ではクラッシュが発生した。4番手スタートのルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が1コーナーでクラッシュ。同じく1コーナーで、さらに後方のステファン・ブラドル(LCRホンダ・カストロール)とポル・エスパルガロ(GASGASファクトリー・レーシング・テック3)も転倒を喫してリタイアとなった。この転倒については審議となった。

 一方、トップを走るマルティンは2番手に続くバニャイアを引き離し、1秒以上のアドバンテージを築く。バニャイアの後方にはマルク・マルケスとミル、さらにブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が続き、少し離れてクアルタラロが6番手につける。ミルはその後、4周目に3コーナーで転倒を喫してリタイアとなった。

 レース中盤になるとバニャイアも3番手のマルク・マルケスに対して1秒以上のギャップを築いた。トップのマルティン、2番手のバニャイアがともに単独走行。3番手のマルク・マルケスの約0.5秒後方にビンダーが続くという状況である。

 ビンダーは残り4周の時点でマルク・マルケスとの差を0.3秒以内に縮め、その翌周にはその差は0.2秒を切った。だが、ビンダーはそこからマルク・マルケスとの差を詰めることができない。

 圧倒的なレースで優勝を飾ったのはマルティン。初日から好調だったマルティンが、まずはスプリントレースで勝利を挙げた。2位はバニャイアが獲得。そして3位にはマルク・マルケスが入った。マルク・マルケスにとっては、開幕戦ポルトガルGPのスプリントレースで3位を獲得して以来となる、トップ3以内のリザルトとなった。

 4位はビンダー。そして5位は、ポールポジションスタートながら1コーナーでマリーニと接触して大きく後退し、17番手から驚異的なペースで追い上げたベゼッチだった。6位にはクアルタラロが入っている。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は14番グリッドスタートで13位だった。

ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)/2023MotoGP第13戦インドGP

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