毎日同じ弁当のメニュー それでも飽きない理由とは

畑になる小豆のさやと黄色い花=9月18日、出雲市内

 会社に持参する昼用の弁当のおかずは、ここ数年メニューが変わらない。切り干し大根の煮物にワカメの酢の物、青菜のおひたし、塩さばにゆで卵だ。週末に作り置きをする。

 夫は独自にハンバーグかコロッケの冷凍食品をプラスしているものの、互いに飽きないのが不思議だった。先日、答えとなる文章に出合った。料理研究家の辰巳芳子さんの料理本『いのちをいつくしむ新家庭料理』の一文。

 「生物は生きてゆきやすい条件を求める法則を生きる。人間も風土と気象条件をしのいで、容易に生きうる必須条件に無意識に従う。先祖がまさしく命がけで創った食文化。米、みそ、だし、土地柄の魚介や野菜類は、親の胸のように、私たちを待っている」。

 みそ汁を例に、飽きない理由を辰巳さんは、だし、魚介、野菜、海藻、大豆製品などをみそでまとめて、最も吸収しやすい「汁物」という状態で食すからだと説く。なるほど、わが家の弁当も味付けに化学調味料や添加物は一切使っておらず、先祖から累々と受け継いだ、体に染み付いた味なのだ。

 23日は「秋分の日」。先祖を敬い、亡くなった人をしのぶ日として国民の祝日に定められている。おはぎを食べる人も多いだろう。小さな一粒に万倍のエネルギーがこもった小豆も、その種をつないだ人たちからの恵みだ。わが畑でもたくさんのさやが付き始めている。ありがたく収穫の日を待つ。

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