アグレッシブなタイヤ戦略で戦ったローソン。Q1を4番手で通過「予選前の情報で正しい判断をした」/F1日本GP密着

 2023年F1第17戦日本GP2日目、9月23日、土曜日。この日の朝9時、アルファタウリは2024年のドライバーラインアップを発表。レギュラードライバーの座は角田裕毅と現在、左手を負傷して欠場しているダニエル・リカルドが射止めた。リカルドの代役として第14戦オランダGPからレースに出場しているリアム・ローソンは、2024年もレッドブルとアルファタウリのリザーブドライバーを続けることとなった。

 発表から20分後、サーキットに到着したローソンの表情は、明るかった。

2023年F1第17戦日本GP土曜日 鈴鹿サーキットに到着したリアム・ローソン(アルファタウリ)

「じつは、鈴鹿に来る前に、チームから知らされていた。もちろん、レーシングドライバーとしての僕のゴールはF1でレースをすることだから、来年レギュラードライバーとしてレースできないことは残念だけど、いまは正直そのことはあまり考えていないんだ」

 F1でレースができること、大好きな鈴鹿をF1マシンに乗って走ることを、ローソンは心から楽しんでいた。

「僕がF1に出場するようになってから、ニュージーランド人のファンにサーキットで会う機会が増えたよ。この鈴鹿にも来ている。本当に心強い」

 そう語るローソンの頭にあるのは、来年のシートではなく、いま自分が乗っているシートのことだった。

「いまは来年のことよりも、自分が与えられているチャンスを活かすことしか考えていない。出場するレースでは常に自分が乗るクルマが持っているポテンシャルを最大限引き出して、ベストなリザルトをチームに持ち帰りたい」

 午後3時から始まった予選。ローソンはQ1を4番手で通過した。

「正直、フリー走行3回目を17番手で走り終えたときには、こんなに力強い走りができるとは考えていなかったよ」とローソン。じつはQ1を4番手で通過した直後、ローソンは「しまった!!」と後悔したという。なぜなら、このときローソンはすでに3セットも新品のソフトタイヤを投入していたからだ。

「予選前は、それほど自信があったわけではなかったので、Q1ではかなりアグレッシブに3セットの新品ソフトタイヤを使うことにしたんだ」と言うローソンにはQ2で使用できる新品のソフトタイヤは1セットしか残っていなかった。1セットしか残っていないため、ミスは絶対に許されず、どうしても攻めの走りから、やや守りの走りを強いられる。Q2の最初で最後のアタックでローソンが刻んだ1分30秒508は、Q2で10番手だったフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)から、わずか1000分の43秒差の11番手となる好タイムだった。

予選Q2を終え、ピットインするローソン

「もちろん、自分たちがそれほど強力だとわかっていれば、新品のソフトタイヤをもう1セット残していただろう。でも、僕たちは予選前に自分たちが持っている情報のなかで、正しい判断をしたと思う」

 事がうまく運ばないときでも、ローソンは責任を転嫁することはせず、冷静に現実を受け止め、前を見る。

「シンガポールとここではまったくサーキットが異なるので、毎日が勉強だった。だから、明日のレースも長い午後になると思う」

 ローソンが思っている以上に速かった土曜日のAT04。日曜日のレースでローソンが11番手からどこまで追い上げるのか。ニュージーランドのファンだけでなく、日本のファンも注目している。

2023年F1第17戦日本GP リアム・ローソン(アルファタウリ)

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