期待が高まる次世代の太陽電池!ペロブスカイトとは【図解 化学の話】

次のノーベル化学賞を受賞するかも・・・?

いま、太陽電池の材料としてペロブスカイトに熱い視線が注がれています。ペロブスカイトは、170年以上も前にロシアの鉱物学者レフ・ペロフスキー(1792~1856年) が発見した酸化鉱物の一種、灰チタン石です。この鉱石は独特の結晶構造を持ち、ペロブスカイト薄膜の吸収波長が広く多少の変形にも耐えられます。ペロブスカイト薄膜は塗布技術で簡単に作製できるため、これまでの太陽電池より低価格での製造が可能といいます。しかも、軽量で柔らかいことから、シリコン系の太陽電池では設置が困難な場所にも対応できるそうです。ペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池に遜色のない変換効率を有することもあって理想的な電池のようですが、世界で最初に実用化への提案をしたのは桐蔭横浜大学大学院工学研究科の宮坂力教授で、2009年(平成21年)のこと。宮坂教授は、2013年(平成25年)から科学技術振興機構(JST)の先端的低炭素化技術開発(ALCA)が進める「太陽電池および太陽エネルギー利用システム」の実用技術化プロジェクトに参画し、現在では有機無機ハイブリッド高効率太陽電池の研究開発で世界の研究をリードしていると注目されています。宮坂教授は、ノーベル賞の有力候補者として評価される「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を2017年に受賞しており、リチウムイオン電池のマイナス極の材料を開発して「ノーベル化学賞」を受賞した吉野彰氏に続き、この分野での受賞が期待されるのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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