新型コロナワクチン接種後の死亡事例 “評価不能”とした国の対応は?遺族の訴え【後編】

1人分は、わずか0.3cc~0.5cc。 新型コロナとの戦いを劇的に変えた新薬。しかし、接種が進むと体の不調を訴える人が出てきたのです。

(京都大学名誉教授・福島雅典医師)
「薬飲んだ時に何か起こったら、まず薬のせいと考える。これは医学の鉄則」

医療の安全性を研究している京都大学名誉教授、 福島雅典医師。

(京都大学名誉教授・福島雅典医師)
「ワクチンを打ってその日に死んでしまう人と次の日に死んでしまう人が、一番多い。それから3日4日5日と」

ワクチンの接種日から数日以内に死亡するケースが特に多いことを指摘。死亡との因果関係を国は徹底調査すべきだと話します。

(京都大学名誉教授・福島雅典医師)
「安全性・有効性が確立していない段階で「特例承認」で見切り発車したわけですよ。全例調査をした上で、救済措置をとらないといけない。法律があるんだから、ちゃんと国は法律を守りなさい」

その年の夏には、総接種回数は3億回に達しました。接種後の死亡事例は報告された分だけで約1700件(2022年8月時点)。そのほぼ全てが「評価不能」の結論でした。

川田龍平参議院議員。約30年前の薬害エイズ事件の被害者です。先頭に立って訴え、全面和解と国の謝罪につなげました。

(立憲民主党・川田龍平参議院議員)
「メッセンジャーRNAワクチンを大々的に人に接種したのは、初めてのケースなので、中長期的な副反応も含めてまだ分からないことがたくさんあるはず。有効性と安全性の追跡調査をしないのは、国民の命と健康をなんだと思っているのか」

(厚生労働省・佐原康之健康局長)
「ワクチン自体の有効性・安全性については、引き続きリアルワールドデータを含む科学的知見の収集に努めていきたい」

(立憲民主党・川田龍平参議院議員)
「このリアルワールドデータをしっかりとって、ちゃんと調査してほしいと思う」

国策で接種を進める新型コロナワクチンが「新たな薬害とならないか」そんな心配が。

「命を軽く見ているんじゃないですか」

2022年11月。 東京の議員会館を訪れたのは、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族会。 川田議員はじめ超党派の国会議員連盟が開いたワクチンに関する厚生労働省との勉強会です。 そこには、夫が接種後に死亡した須田さんの姿も。

接種後の死亡事例は1800件に増えました。報告書には、判定のほぼ全てに「評価不能」を表す、ガンマの記号が並んでいます。因果関係は分からないという結論です。

国は、ワクチンの被害を見過ごしていないか。遺族からの訴えが。

(ワクチン接種後に夫が死亡・河野明樹子さん)
「私たちは国を信用して打ちました。助かると思って。それが大事な大事な夫の命をとられた。『ワクチンとの因果関係がない』と言われて納得できると思いますか?自分の身内だったらどうします?」

(ワクチン接種後に夫が死亡・須田睦子さん)
「あなた方が安全だとおっしゃっていたワクチンを打って、夫は亡くなった。亡くなってから1年経つが、未だに因果関係は不明とされています。言い訳というか、亡くなっている人たちと正面から向き合っていないですよね」

(厚生労働省・救済認定担当者)
「必要な情報をしっかり集めさせていただいて、必要な評価をする。ガンマ(因果関係不明)となった場合でも、それでその症例が終わりではなくて、そういった情報も大事にして、全体として注意喚起が必要なことなのか、われわれとしては真剣に考えている」

遺族側から「ワクチン接種をこのまま続けるのか」と質問が出ると。

(厚生労働省・救済認定担当者)
「オミクロンのタイプの5回目接種についても、現行では変更する必要がないという評価なので、私どもといたしましては、引き続き5回目接種を続けさせていただく」

(ワクチン接種後に妻が死亡・小金井孝行さん)
「中止して安全性を確認してからということはできないんですか?平行してやっていたら、当然被害者はでてきてしまいますよね?」

(ワクチン接種後に夫が死亡・須田睦子さん)
「実際に人がなくなっているんですよ。それなのにまだ5回目を続けるってだから『命を軽く見ているんじゃないですか』ってさっき言ったんですよ」

(ワクチン接種後に妻が死亡・小金井孝行さん)
「厚労省の意見ではなくてあなたの意見で、今回のワクチンに関してどう思っているの?」

(厚生労働省・救済認定担当者)
「こういう場なので個人的な意見は…申し訳ございません」

接種の中止と原因究明を求めた遺族会。あくまで接種は続けると明言した厚労省。

(厚生労働省・救済認定担当者)
「今日のことは、いろんな方からいろんな話を聞いたので、それを踏まえて施策にいかしていく。まだ具体的なところまでは、申し上げられない。 情報を正しく出してほしいというのは我々も今やっているので。そこは報告会のご意見もふまえて順次対応する」

厚生労働大臣を直撃すると

独自に動く自治体も。名古屋市の河村たかし市長。報道で知って訪ねた相手は、ワクチン接種後に足が動かなくなった50代の男性です。

(名古屋市在住・50代男性)
「今後、いま働いている職場で働けるかどうかもちょっとまだ分からないんです。 明確な回答をもらっていないから。ただ、会社側は僕が働けるような環境を作ってもらう感じでいま動いてもらっている。でも、もし万が一『ごめんなさい』と言われたら僕は職を失ってしまう」

(名古屋市・河村たかし市長)
「 わかりました。まずは生活支援をしないかん。ワクチンの保障もあるけど。仕事に就けるように」

名古屋市は、医療費の補助や副反応の相談受付を実施。国の救済が進まない中、独自の取り組みに乗り出す自治体も出てきました。

(名古屋市・河村たかし市長)
「結局『ワクチンの後遺症みたいなものはないんだ』というような方向で国がやってきた。そっちに引っ張られるわな。だけど、市はもっと細かいというか…生活支援せないかん。認定もあるけど」

一方、ワクチンの影響を研究する医師も。 高知大学・医学部の佐野栄紀特任教授。ワクチン接種後に帯状疱疹などの皮膚疾患が増えていることに注目しました。 患部を特殊な染料で染め上げると。

(高知大学 特任教授・佐野栄紀医師)
「グリーンに染まっているところがスパイクタンパクなんですよ。 ワクチン由来のスパイクタンパクが皮膚で染まった」

患部に見つかったのは、ワクチンが作り出したスパイクタンパク。ウイルスへの免疫を生み出すだけのはずが身体に残り、ダメージを与えている可能性を指摘します。

(高知大学 特任教授・佐野栄紀医師)
「副作用としてのスパイクタンパクの働きは血栓を作る。局所の炎症を誘発することもある」

佐野特任教授はこの研究を論文として発表し、ワクチンと皮膚疾患の因果関係を調べるよう国に提言しています。

厚生労働省の加藤勝信大臣に話を聞きました。

(厚生労働省・加藤勝信大臣 2022年12月当時)
「副反応ないし救済制度の申請が上がってきているのは承知している」

「厚労省としても予防接種による健康被害を受けた方を迅速に救済していく必要があるということで、詳細な審査を簡略化するなど必要な措置を講じることにしている」

一方、副反応の究明については…

(厚生労働省・加藤勝信大臣)
「因果関係の有無にかかわらず、実態の把握とか治療についての研究も立ち上げようとしている」

このあと、厚労省は救済認定の部署を拡大。副反応の実態調査を各都道府県に指示し、ワクチン接種後に起きた症状の治療や原因究明にあたる「専門医療機関」も全国に指定。この問題に向き合う姿勢を見せ始めました。

接種後に“杖”が手放せない14歳の少年

埼玉県に住む14歳の少年は、外出に杖が手放せなくなりました。長時間立っている事はできません。

(14歳の少年)
「(Q. 歩く時に杖がないとつらい?)なくても歩けるんですけど、座るところがない時に立っていられるように」

ワクチンを打ったのは2021年8月。中学1年の夏でした。以来、手や背中の発疹、 起きていられないほどのだるさなど体調不良が続いています。

(14歳の少年)
「倦怠感が一番辛い。息切れと頻脈と動悸が一番出ている」

今は中学3年ですが、1年の途中から学校には通えていません。

(14歳の少年)
「特に卓球は1年生からやりたくて入ったことなので、ずっとできていないのは悔しい」

(母親)
「楽しみにしていた学校生活を台無しにさせてしまって申し訳ない…」

国が指定した専門医療機関にも行きましたが、「わからない」と治療を断られました。10以上の病院でたらいまわしになっています。

この日は、地元の小児医療センターへ。専門医療機関ではありませんが、体調不良が少しでも軽くなればというわずかな期待が。

(14歳の少年)
「(Q. 検査はしてきた?)検査はしていなくて…免疫の専門ではないので紹介状を書くから別のところに行ってと。きょうは診察だけで検査はしていない」

ここでも「専門外」だと治療を断られました。高校進学の見通しも立っていません。

(14歳の少年)
「将来このまま症状が治らなくて、社会人になって仕事に就けなかったらどうなるんだろうとか、仕事に就けなかったらどうするかなとかを考えています」

愛知県の40代女性。点滴の針をさす医療器具を、もう一度首元に埋め込んでもらいました。

(愛知県在住・40代女性)
「摂食障害ということで、とりあえず通えば外科の先生は動いてくれるから、心療内科に通ってほしいと言われて、やっと外科が動いてくれた」

「ワクチン後遺症」ではなく医師に言われた通り「摂食障害」と認めることで、ようやく取り付けてもらえました。

(愛知県在住・40代女性)
「摂食障害と認めるくらいなら、外科の先生に入れてもらわなくてもいいと思ったけど、生活ができないので。在宅の先生にも“病院を利用する”と思ってやってもらった方がいいから行っておいでと」

久しぶりに外出用の上着に袖を通します。今も点滴は24時間。外出時にはバッグに入れて背負います。

この日、名古屋で開かれたワクチン後遺症についてのシンポジウムに招かれていました。接種後の体調不良に苦しむ人びとが集まっていました。今では顔見知りというより、同じ問題に向き合う“仲間”でもあります。

(京都大学・宮沢孝幸准教授)
「このワクチンはとてつもない欠点があって、本当は免疫細胞に入れたいのに免疫細胞以外の細胞にも入ってしまう。そうすると、いろんな細胞にワクチンが入る」

数百人が訪れていましたが、取材のメディアは他にいません。

「私たちにとっては、1分の1の確率」

壇上に上がる女性。 ワクチン接種から2年が経ちました。

(愛知県在住・40代女性)
「ワクチン後遺症という病気は、医学的に存在しないので私たちはワクチンによって体調が変わったにもかかわらず『異常はない』『精神疾患』だと存在を否定されてしまう。でも私たちは存在している。後遺症はごくまれに起こることなのかもしれません。でも私たちにとっては、1分の1の確率なんです」

救済認定はまだ出ていません。それでも原因究明を求めていく。そう考えています。

(愛知県在住・40代女性)
「ワクチンを打ってからあんなに人がいるところに出たのは初めて。2年ぶりくらい。すごく元気がでました。明日からどうなるか」

家に入るために作ったスロープを1日50往復。ワクチン接種後に下半身不随になった名古屋の50代男性です。

(名古屋市在住・50代男性)
「膝に力が入るようになった。あと足の裏にもなにかしら感じるようになった。触られても何も感じなかったのに。今は触られた時や立った時に感じる。後は脚に力が入るようになった」

まだ、国の救済は認められていません。脚は元に戻らないと医師の宣告を受けています。それでも、諦めるわけにはいきません。

(名古屋市在住・50代男性)
「ワクチンに対して僕は否定的ではないが、僕みたいにワクチンを打って障害とかになった人に関しては早急に救済してほしい」

厚生労働省の入口の植え込みには、ひっそりと石碑がたてられています。サリドマイドやスモン、そして薬害エイズ。国の政策で起きた数々の薬害事件への反省からたてられた “誓いの碑”。

7階には、ワクチン副反応の救済認定を行う部署が。ことし1月から大幅に態勢を拡大し、認定数を増やしていました。しかし、ワクチン行政を批判する声が多く寄せられていることを理由に、扉の向こう側の取材は許可されませんでした。

(厚生労働省・救済認定担当者)
「もともとインフルエンザのワクチンと比べると、通常起こりうる副反応の範囲ですが、熱が出たりとか痛みが続いたりというのは、もともと承認された時から多い。それでもってワクチンを止める重大な懸念があると直ちに結びつかないと思う。そういうこと(副反応)が引き続き、何か重大な懸念にならないかどうかは、副反応検討部会があるので、そこで引き続き評価を続けていく」

(厚生労働省・加藤勝信大臣 2023年5月当時)
「重症者を減らすことを主な目的としつつ、一定の感染予防効果も期待される。それを踏まえて全ての方への接種の機会を確保することが望ましいということで、来年3月末まで『特例接種』として、一般の方広くは9月をめどに接種を開始する」

2023年5月8日、3年以上続いた新型コロナの法律上の分類が5類に移行され、通常の病気と同じ扱いに。国内でのワクチン接種回数は、3億8700万回を超えました。日本は追加接種率、世界一です。

CBCテレビ「評価不能 新型コロナワクチンの光と影」2023年5月27日放送より

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