吉村洋文・大阪府知事が阪神とオリックスの優勝パレードを“横取り”してボロボロ万博のPR に政治利用 ネットで非難が殺到!

大阪府HPより

阪神タイガースが18年ぶり4度目、オリックス・バファローズが3年連続15度目のリーグ優勝を決めたが、案の定、吉村洋文・大阪府知事が優勝にかこつけた「政治利用」の動きを見せ、非難を浴びている。

22日に吉村知事は、維新の斎藤元彦・兵庫県知事、関西経済連合会の松本正義会長とともに記者会見を開き、11月23日に大阪市と神戸市で両チームの優勝パレードを開催すると発表。しかし、発表されたパレードの名称からして、政治利用の匂いがプンプンするものだったのだ。その名称は、こうだ。

「兵庫・大阪連携『阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード ~2025年大阪関西万博500日前!~』」

それだけではない。パレード開催を発表する場であったにもかかわらず、記者会見場には球団旗が掲げられることもなく、会見の背景の壁やテーブルにはデカデカと「2025年大阪・関西万博」「いっしょに、いこな!大阪・関西万博」と書かれた横断幕を掲示。し、吉村知事は「大阪・関西万博の大きな弾みになると思うので、パレードで万博を一緒に盛り上げ、すばらしい大阪・関西の未来をつくっていきたい」などとコメント。挙げ句、「気持ち悪い」「怖い」と評判の大阪万博公式キャラクター・ミャクミャクまでもが会見に参加し、メディアの写真撮影時にも吉村知事らとミャクミャクが仲良く写り込む始末だったのだ。

じつは吉村知事、阪神タイガースの優勝マジックが1となった9月13日にも、SNSにこう投稿していた。

〈阪神、いよいよアレっすね。M1。強いわ。さて、万博関連イベントの情報発信サイトを立ち上げました。現時点では府内イベント情報が多いですが、万博開催が近づくにつれ、万博の中身が固まってきたら、そちらの情報発信もやっていきます。走りながら厚くしていきます。〉

ようするに吉村知事は、阪神タイガースの優勝に便乗し、パビリオン建設が遅々として進まないことにより開催が危ぶまれ、世論調査でも63%が「関心ない」と答えるほどに機運がダダ下がり中の大阪・関西万博をPRしようと躍起なのだ。

●吉村知事の露骨すぎる便乗PRに「阪神優勝を政治利用するな!」の声殺到

しかし、このあまりにも露骨すぎる“便乗商法”には批判が殺到。〈優勝パレードに万博一切関係ないのに名前入ってるのマジで意味わからん〉〈万博の金集め〉〈維新政治は阪神18年ぶり優勝を政治利用するな!〉〈維新が勝手に誘致した万博なんだからお前らが責任持って始末しろ。タイガースを巻き込むな胸糞悪い〉〈万博をこじつけたこんなパレード、非常に不快極まりない〉などといった意見が数多く投稿される事態となっているのだ。

たしかに、過去にも阪神タイガースの優勝を“政治利用”しようとする動きはあった。実際、同じく18年ぶりのリーグ優勝となった2003年にも、タイガースファンを自認していた当時の太田房江知事が「優勝に備えて道頓堀の川ざらえを」などと発言。これは府知事の任期満了を控え再選を狙ったパフォーマンスだと見られていた。

だが、この2003年と比較しても、今回の吉村知事らによる“政治利用”の動きは異常というほかない。

というのも、2003年にも阪神タイガースのリーグ優勝を祝うパレードが大阪市と神戸市で開催されたが、当時の報道を振り返ると、このときは大阪府や市、財界などからなる実行委員会の代表として太田知事らが甲子園球場を訪れ、阪神の球団社長である野崎勝義氏と懇談を実施。太田知事は「私たちは黒子に徹しますので、ファンへ感謝の気持ちがあふれ出るようなパレードにしていただきたい」と述べ、1959年の南海優勝以来となる御堂筋パレードの実現で基本的に合意したという。また、神戸でのパレード開催も、兵庫県の井戸敏三知事や矢田立郎・神戸市長(ともに当時)らが要請し、それを野崎氏が受け入れ、11月3日に同日開催されることが決まった。ちなみに、パレード開催日が11月3日に決まったのは、当時の星野仙一監督の希望を球団側が汲み取った結果だったという。

ところが今回は、球団側との懇談がおこなわれた形跡がないまま、実行委員会が立ち上げるよりも前に維新の吉村知事と斎藤知事、松本会長が記者会見を開催し、パレードの開催を大々的に発表。阪神の百北幸司球団社長は、11月23日の開催が決まったことを受けて「呼んでいただいて非常にありがたい」とコメントしている。

つまり、2003年当時は球団側との折衝の末、球団側の希望にも沿うかたちでのパレード開催が正式決定していたが、今回は吉村知事らと大阪万博の誘致から深くかかわってきた関西経済界トップの松本会長による“トップダウン”で開催決定が推し進められているようにしか見えないのだ。

またか、と言わざるを得ないだろう。事実、吉村知事はこれまでも、コロナという未曾有のパニックに便乗し、自身のPRの場に政治利用してきたからだ。

●イソジン、大阪産ワクチン…コロナでもやってる感アピールに勤しんだ吉村知事

たとえば、2000年8月には、イソジンのうがい薬などをテーブルに並べて「ウソのような本当の話」「コロナに効く」などと喧伝する記者会見を、テレビで生放送される時間帯を狙って開催。情報公開請求によって公開された当時の内部文書を読むと、このときの会見も、当初は松山晃文・大阪はびきの医療センター次世代創薬創生センター長が研究成果を発表する予定になっていたのを、前夜になって吉村知事が説明することに変更。大阪府の藤井睦子・健康医療部部長が松山センター長に送信したメールには、〈知事自身がフリップを使って(中略)研究の成果をお話しになりたいということです〉〈知事が明日の会見で、ポビドンヨードの現物を展示しておきたい、とおっしゃっており〉と書かれていた。つまり、あの会見は、吉村知事が先走って手柄を横取りし、自身のパフォーマンスに利用したものにすぎなかったのだ。

例の「大阪産ワクチン」も同じだ。2020年4月、吉村知事と当時の松井一郎・大阪市長は、「オール大阪でワクチン開発を進める」と宣言。これは大阪大学の森下竜一・寄附講座教授と、森下教授が創業したバイオベンチャーのアンジェスが共同でDNAワクチンを開発するというもので、吉村知事は「9月から実用化に向かう」「実用化されれば10万~20万人単位で接種が可能で、コロナウイルスと戦う武器になる」と豪語し、同年6月には「今年中には10万から20万の単位での製造というのが可能になる」「2021年春から秋に実用化を目指したい」とまで発言。この間、開発会社のアンジェスの株価は、それ以前の600〜700円台前後から2000円以上に爆上がりした。

ところが、アンジェスは2021年11月に「(治験で)想定していた効果が得られなかった」と公表し、2022年9月にはDNAワクチンの開発を中止すると発表。さんざん大言壮語を繰り返しながら大失敗に終わったのだ(ちなみに、森下氏は大阪万博にも食い込んでおり、「大阪パビリオン推進委員会」の総合プロデューサーに就任。さらに、万博スポンサー最上位の協賛企業に位置づけられる「スーパープレミアムパートナー」には森下氏が顧問を務める浄水器販売会社「株式会社サイエンス」が入っていることなどから、森下氏に万博を任せようとする吉村知事・松井市長の責任を問う動きが起こっている【詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2022/10/post-6236.html)。

コロナの不安につけ込むように、検証もおこなわれていない、目処も立っていない研究を持ち出しては、自分の手柄として喧伝し、利用するだけ利用する。しかも、それらが何の成果も得られないまま終わっても、なかったことのように知らんぷりする。そして今度は、一向に準備が進まない、機運も高まらない大阪万博の起爆剤として阪神タイガースの優勝を利用。お得意の記者会見を大々的に開いて、パレード開催をぶち上げたというわけだ。

吉村知事のパフォーマンスに、一体いつまで踊らされなければならないのか。とくに阪神ファンは、あまりに露骨すぎる「タイガースの政治利用」に、もっと怒るべきではないだろうか。
(編集部)

© 株式会社ロストニュース