【MLB】 リーグ最悪のチームから離脱し、リーグ最高のチームに復帰したエース ミーンズがオリオールズを牽引

写真:2年ぶりの勝利を挙げたジョン・ミーンズ

既にプレーオフ進出を確定させ、あとは地区優勝まで突き進むだけだったオリオールズだったが、現地20~22日までで3連敗。ブルペン陣が不調に陥って停滞ムードも漂っていたが、トミー・ジョン手術から帰ってきたエースがそれに終止符を打った。

現地23日(日本時間本日24日)のガーディアンズ戦に先発したジョン・ミーンズは8回途中までノーノー投球。8回一死からアンドレス・ヒメネスにソロ本塁打を浴びたものの、7.1回1失点と圧巻の投球を見せ、2021年9月20日以来となる2年ぶりの勝利を挙げた。

ミーンズはもともと2014年ドラフト11巡目でオリオールズに入団した生え抜きの選手。2015年からフルシーズンを戦い出してからは、毎年のように30先発近い登板をこなし、圧倒的ではないものの防御率3点台後半を記録する安定感を発揮していた。

5年間のマイナー暮らしで着実にマイナーの階段を駆け上がると、ついに2018年にメジャーデビューを飾る。マイナーを順調に駆け上がっていたにも関わらず、ミーンズの評価はせいぜい先発4、5番手かあるいはリリーバーというもの。とても将来のエース候補とは見られていなかった。

しかし、2019年、前年115敗で人手不足に悩んでいたオリオールズはシーズン早々にミーンズを先発ローテーションに抜擢。すると、前半戦に18登板で防御率2.50という大活躍を見せ、オールスターに選ばれることになったのだ。

そこからミーンズは完全にメジャーに定着。2021年にはノーヒットノーランも達成した上、2019年から2022年まで67登板で防御率3.73と、再建チームの若手エースとしては十分すぎる数字を残していた。

ところが、ミーンズは2022年4月、シーズン2先発目に肘の違和感を訴えて負傷交代。結果的にトミー・ジョン手術を受け、1年以上の戦線離脱を余儀なくされてしまう。

ミーンズはそこから514日後の今年9月12日にやっとメジャーに復帰することになったが、彼を取り巻く状況は180度変わってしまったと言って良い。

ミーンズが戦線離脱した2022年4月時点では、オリオールズは未だに再建中で最下位に沈むのが当然と見られるような状況にあった。しかし、ミーンズの離脱のおよそ1ヶ月後にはオリオールズはアドリー・ラッチマンを昇格。そして、ミーンズと共に再建期を過ごしてきたセドリック・マリンズ、オースティン・ヘイズ、アンソニー・サンタンデールの活躍もあって、オリオールズは結局2022年を5年ぶりの勝ち越しで終えた。

今年はといえば、2022年9月にデビューしたガナー・ヘンダーソンとラッチマンがチームの顔に。さらにミーンズの離脱後にデビューしたカイル・ブラディッシュ、グレイソン・ロドリゲスらが先発ローテを牽引、さらにフェリックス・バティスタとジャンニエル・カノーの剛腕コンビがブルペンを支え、リーグ最高勝率のチームへと生まれ変わった。

最悪のチームから最高のチームへ。

ミーンズは復帰後の3先発で防御率2.60と好投中。チームの状況がどれほど変わろうとも、ミーンズの安定感ある投球は変わっていない。プレーオフでもミーンズはチームを導けるだろうか。

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