【MLB】 ア・リーグ西地区の優勝争い 運命の1週間を展望

写真:マリナーズに2連勝したレンジャーズ

ア・リーグ西地区のカオスは終わらない。

レンジャーズがマリナーズとの直接対決に2連勝するかたわら、アストロズが100敗チームのロイヤルズにまさかの2連敗。前日に首位交代したのに引き続き、首位レンジャーズがさらにリードを伸ばしている。

現在86勝68敗でレンジャーズが首位、85勝70敗のアストロズが1.5ゲーム差でそれを追い、84勝70敗のマリナーズが2ゲーム差でそれに付けているという状況だ。ワイルドカード争いで見ると、アストロズが2位ブルージェイズに1ゲーム差の3位、マリナーズが0.5ゲーム差でそれを追う4位となっている。

残り1週間の優勝争いを改めて展望してみよう。

ここにくると有利なのが首位レンジャーズだ。残すのは明日のマリナーズとの3連戦の残り1試合、4位エンゼルスとの3試合、そして最後のシリーズが再びマリナーズとの対決になる。勝率5割未満の相手とのシリーズを残しているのはエンゼルスと対戦するレンジャーズだけであり、大谷翔平など主要選手を欠くエンゼルスと今対戦できるのは有利に働きそうだ。さらにマリナーズとの最後の直接対決にしても、今季マリナーズに対しては7勝1敗と分が良く、現在の3連戦でもその相性の良さを発揮できている。

成績が並んだ際に順位を決定するタイブレーカー(第一に直接対決の勝敗、次に同地区内の対戦成績、その後はさらに複雑になるため割愛)は、直接対決で圧勝するマリナーズに対しては保持しているが、アストロズに対しては保持されている。つまり、1.5ゲーム差のアストロズに対しては勝敗で並ばれれば、逆転されたのと同然になる一方で、マリナーズに対しては追いつかれても問題がなく、マリナーズに対する2ゲームのリードは実質3ゲームと考えられる。

マリナーズとは最後に敵地で4連戦が残っているものの、レンジャーズとしてはマリナーズに逆転されるリスクは低いかもしれない。直接対決で圧倒的に分が良いことや、その前のシリーズでマリナーズがアストロズと対戦する間に、レンジャーズはエンゼルスと対戦してリードを広げられる可能性が高いことを考えればなおさらだ。

むしろレンジャーズにとって気がかりなのが、タイブレーカーを持たれているアストロズの動向だ。アストロズは明日がロイヤルズとの残り1戦、そして敵地でマリナーズとダイヤモンドバックスと3戦ずつこなす。苦手とするホームではなくアウェイ6連戦でシーズンを終えられるのはプラスに働くかもしれないが、マリナーズに対しては今季2勝8敗と相性が悪い。さらに最後のDバックスとのシリーズでは、絶対的な1、2番手(そして3番手以降との実力差は天地ほどある)ザック・ギャレンとメリル・ケリーと対戦する巡りになっている。スケジュールはタフだ。

レンジャーズに対してタイブレーカーを持っているものの、実際にはマリナーズに対して持たれているタイブレーカーとワイルドカード圏内にとどまれるかを心配するべきかもしれない。ブルージェイズがワイルドカード2位に滑り込み、レンジャーズがそのまま優勝するならば、ワイルドカード3位でマリナーズに並ばれた時点でプレーオフの夢は潰える。

マリナーズのスケジュールはタフでこそあるが、最後まで逆境をひっくり返すチャンスがあると言うこともできる。明日レンジャーズとのシリーズを終えると、明日からシアトルでアストロズとの3連戦、レンジャーズとの4連戦に移る。レンジャーズとの相性の悪さを考えれば、レンジャーズを残り5戦で圧倒して逆転優勝は難しいかもしれない。しかし、相性が良いアストロズと3戦を残し、タイブレーカーを持っているのはワイルドカード争いを考えれば有利だ。アストロズとの初戦に予想される絶対的なルイス・カスティーヨが、シーズン残り2先発できるのも有利に働きそうだ。

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