こんにちは。内田友賀です。
私たちはこの10年間で、111校で7582名(2023.9.17現在)の児童たちに出会ってきました。
この7582名のうち、授業のスタート時に、恐怖心で犬に触れられなかった児童はどのくらいいると思いますか?
犬を目の前にして恐怖心を覚える子どもは20%程度
実際に授業を開始し、目の前で動く犬たちを見た時、子どもたちのイメージはリアルなものへと変わります。
動画などを見て可愛いと思っていた児童も「怖い」と感じることがあり、授業スタート時に怖いと感じる児童は、全体の『20%』にもなります。
つまり、私たち犬の飼い主が生活するこの地域で、5人に1人の子どもが犬に恐怖心を感じている計算になるのです。
さて、この児童たちが授業を経て、どのように変わっていくのでしょうか。
たった45分の奇跡
動物介在教育の時間はわずか45分。その間に、子どもと犬が起こす奇跡をたくさん見てきました。
過去の実施で、最初に犬に恐怖心を感じた児童は、約1500名。その恐怖の度合いは人それぞれです。友だちと一緒にキャーキャーと遊び半分で怖がる子もいれば、体が固まってしまう子、教室の隅に逃げてしまう子や泣き出してしまう子もいます。どんな子どもたちに対しても、私たちは犬に触れることを強制しません。その子のタイミングで心を開くのを、そっと見守るのです。
すると、周りの様子を見ながら少しずつ距離を縮め、最初は顔以外の場所から、徐々に頭を触るようになるのです。
そして45分後、恐怖心を持っていた児童の91%が、「犬が好きになった」と答えています。なかには、介在犬を抱きしめてバイバイしたくないと寂しがる子どもまで。
学校教育における「苦手の克服」の大切さ
子どもたちの苦手意識を克服させることは、学校教育としてとても大切と言われています。それは、何でも好きにすること自体に意味があるのではなく、自分の力で苦手を克服したという成功体験に価値があると考えられているのです。
自分の力で未知の領域に挑戦し、成功体験を積むことで自己肯定感が育まれると言われています。しかし、それほどまでの経験(心の変容)を生むには、2泊3日ほどの時間をかけた林間学校などの非日常体験が必要と言われています。
動物介在教育の価値と目的
私たちのゴールは、単に「犬を好きになってもらうこと」ではありません。
子どもたちが「犬ってこんなに心が通じ合える動物なんだ」と知ることや、「先入観を超えた“実体験”」を通じて成長した自分を感じてもらうことです。
その体験を犬が助けてくれたという印象は、子どもたちが成長していくうえでの動物観を、大きく変えてくれると信じています。
一人でも多くの子どもたちが、犬たちが与えてくれる「生きる力の種」を持って大人になってくれることが、犬とのより良い共生社会の一助にもなると考えています。
これからも、子どもと犬のたくさんの奇跡を見ていきたいな。
Lots of love.