窪田正孝「全裸になって、さらけ出したい」齊藤工監督への安心感を吐露『スイート・マイホーム』舞台挨拶

2018年、「第13回小説現代新人賞」を受賞した注目の女性作家・神津凛子の同名デビュー作を、主演・窪田正孝、監督・齊藤工で映画化した『スイート・マイホーム』が公開中。そのヒットを記念して、9月22日にヒューマントラストシネマ渋谷にて公開御礼舞台挨拶が開催され、窪田正孝、齊藤工監督が登壇した。

映画公開から約3週間が経過したものの、この日の会場は満員御礼状態。第一頸椎剥離骨折から回復しての初登壇となった窪田は「ここに立つまで色々とありましたが、首も無事くっついて、映画を観た皆さんの顔をこうして近くで見ることが出来て凄く嬉しい」と元気に挨拶した。周囲からの反響・反応については「観てくれた人はみんな怖がってくれたみたいで、色々なところから連絡を頂きました。人間が一番怖いと思う映画だし、怖くもあるけれどそこに美しさも備わっていて紙一重を貫いている作品だという声も頂きました」と報告した。

俳優としてではない映画監督・齊藤工とのタッグには「工さんが撮ってくれたことによって、ほかの人では出来ないものができたと思う。工さんがカメラ側で見てくれている、そこに不思議な安心感があって、全裸になってもいいくらい、さらけ出したいという気持ちがあった。それは蓮ちゃん(蓮佛美沙子)も奈緒ちゃんも感じていたと思います」と信頼しきり。すると齊藤監督は「ちなみに全裸になりたいというのは、心の全裸という意味ですからね!」と誤解のないよう観客に丁寧に説明していた。

映画公開時期に齊藤監督が出演したラジオ番組で、福山雅治は本作について「このラストシーンは映画として最高、人間として最悪。最高と最悪が同時に訪れる。つまり完璧なエンディングです」と絶賛した。

これに齊藤監督は「福山さんは自分が映画を撮るにあたり、『blank13』の時から背中を押してくれて、商業的フィールドでモノを作る意味を僕に教え続けてくれている方でもあります。福山さんの背中を押してくださる姿勢に対しての僕の答えは表現でしかないので、嬉しい言葉でした」と感謝していた。

マイホームが影の主人公でもあることにちなみ、窪田と齊藤監督が「マイホーム(自宅)での過ごし方」を大発表。独身の齊藤監督は「他者の目線がないので、着替える途中で着替えることすら嫌になって、半分着替えた状態でソファーに座ってダラッとしてしまう。それが世界で唯一許される場所だと思うと、どこか幸せを感じてしまう。…悲惨な中年の日常です」と苦笑い。一方の窪田は「僕は体を動かすことが好きなので、奥さんと一緒にヨガをやったり瞑想したりしています。ヨガは体が整うし体に酸素が入ると細胞も喜びます」と健康志向な一面を伺わせた。

最後に主演の窪田は「こうして工さんと同じ時間を共有できて嬉しく思います。いち映画好きとして映画館で映画を観るというカルチャーはなくなってほしくはないし、どこまでも残っていてくれたらいいなと思います」と映画愛をアピール。齊藤監督も「この作品は映画館という館の中で観ていただきたいエンターテインメントだと思っています。配信、ソフト化を目指したものではなく映画館という場所で味わっていただくために作った純度100%のもの。同時にこの作品だけではなく、映画館で色々な作品を観ていただきたいです」と観客に呼び掛けていた。

『スイート・マイホーム』
2023年9月1日(金)より、全国公開中
監督:齊藤工
原作:神津凛子「スイート・マイホーム」
出演:窪田正孝 蓮佛美沙子 奈緒 中島歩 里々佳 松角洋平 根岸季衣 窪塚洋介
配給:日活・東京テアトル

【ストーリー】 冬が厳しい長野。スポーツインストラクターの清沢賢二(窪田正孝)は「まほうの家」と謳われた一軒のモデルハウスに心を奪われる。寒がりの妻と娘のために、たった一台のエアコンで家中を隅々まで暖められるというその家を建てる決心をする賢二。新居が完成し、家族に二人目の娘も加わって、一家は幸せの絶頂にいた。ところが、その家に越した直後から奇妙な出来事が起こり始める。赤ん坊の瞳に映るおそろしい影。地下室で何かに捕まり泣き叫ぶ娘。「家」を取り巻く恐怖の連鎖は家族だけに留まらず、関係者の怪死などに波及し始め、そして予想を超えた衝撃の結末に向けて加速していく。

©神津凛子/講談社

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