盛り上がる食中RTD 今度は「焼酎ソーダ」 サバ味噌と相性抜群 キリンビール

「焼酎ソーダ」で勝負に出る。

10月1日に酒税が引き上げられる新ジャンルからのユーザー流入が加速するとみられる、缶チューハイなどのRTD酒類。キリンビールは食事によく合う味わいの新ブランドで、需要が盛り上がる食中シーンの獲得に動く。

「ウイスキー、ジンなど特徴ある原酒をソーダで割る『原酒ソーダ』市場が拡大している。さらに多くの選択肢を求める潜在ニーズに、新たな提案でRTDの一層の魅力化が図れると考えている」(9月22日の発表会でRTDカテゴリー戦略担当マネージャー・松村孝弘氏)。

10月17日から発売するのは「キリン 上々 焼酎ソーダ」。グループのメルシャンが展開する焼酎ブランド「八代不知火蔵」の本格麦焼酎原酒を一部使用し、米麹抽出物や食塩を合わせた。焼酎の本格感や満足感とともに、クセがなくすっきり爽やかな味覚を実現。焼酎を苦手に感じる人でも飲みやすいおいしさに仕上げた。

すっきりと甘くない味わいが、食事を引き立てる。AI味覚センサーによる分析では和食を中心に多くの料理との好相性を確認。なかでも「サバの味噌煮」との組み合わせは、過去最高の相性度を示した。

22日の発表会で増崎瑠里子氏㊧と松村孝弘氏(キリンビール)

「メルシャンとキリンビール双方の知見を活かしたブランド」と説明するのは、中身開発を担当した増崎瑠里子氏。約80年の歴史を持つ焼酎蔵である八代不知火蔵(熊本県)の焼酎づくりと、キリンのRTD開発ノウハウを生かして作り上げた。さまざまな素材との組み合わせを60パターンほど試した末に、米麹抽出物と食塩による絶妙な味に行き着いたという。

米焼酎や芋焼酎なども展開する八代不知火蔵だが「焼酎を飲む人だけでなく普段飲まない方にもお届けしたいと考え、華やかな香りがありながらすっきりと飲みやすい麦焼酎を選んだ」(増崎氏)。

価格はオープン。コンビニでの税込想定価格は350㎖缶179円、500㎖缶245円。アルコール分6%。年内80万㌜の販売を計画する。

同社RTD事業では主力「氷結」を中心に強固なブランド体系を築く一方、レモンなどの発酵果汁を使用した「麒麟百年」や新発売の「上々 焼酎ソーダ」をはじめとした新たな成長エンジン育成にも取り組む。ビールとRTDの両方を楽しむユーザーが増えるなかで、新ブランド投入により両カテゴリーの併買も促進したい考えだ。

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