バウティスタが2勝するもレース1で転倒リタイア。ラズガットリオグルとの差は47ポイントに/SBK第10戦アラゴン

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第10戦アラゴンラウンドがスペインのモーターランド・アラゴンで行われ、レース1はマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、スーパーポール・レースとレース2でアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝した。

 SBK第10戦アラゴンでは、カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのアレックス・ロウズが欠場となった。ロウズは前戦フランスラウンド後、左膝半月板損傷の手術を受け、現在は回復に努めている。ロウズの代役としては、フロリアン・マリーノが参戦した。

 スーパーポールの結果により、ポールポジションはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、2番手はバウティスタ、3番手はトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)で、三強がフロントロウに並ぶ形となった。

 レース1は気温25度、路面温度35度のドライコンディション。ポールポジションのレイは好スタートを切るも、アウトに位置をとったバウティスタがトップを奪う。トップはバウティスタ、2番手はレイ、3番手がラズガットリオグルというトップ3で、少し離れてリナルディ、アンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)、アクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)が続く状況である。

 バウティスタ、レイ、ラズガットリオグルの3人はトップ集団として後方を引き離していくとともに、このトップ集団のなかでもバウティスタが先行しつつあった。

 しかし、6周目、トップを快走していたバウティスタがまさかの転倒。9コーナーでのスリップダウンだった。バウティスタは急いでマシンを起こしてレースに復帰したが、22番手にまでポジションダウンした。

 バウティスタの転倒により、この周にレイをかわしたラズガットリオグルがトップに立った。だが、レイがラズガットリオグルをオーバーテイク。レイがトップに浮上するも、ラズガットリオグルとの差は僅差で、接戦のトップ争いとなった。バウティスタがポイント圏外にまで後退したこのとき、ラズガットリオグルにとってはチャンピオンシップのポイント差を詰める好機であり、レイにとっては今季2勝目のチャンスという状況である。

 レイとラズガットリオグルの接戦が続くなか、ふたりの後ろにリナルディがひたひたと迫っていた。リナルディはレース中盤の9周目にはラズガットリオグルに1秒以内にまで差を詰め、12周目には0.5秒を切るまでになった。トップ集団はレイ、ラズガットリオグル、そしてリナルディの3人という状況である。

 リナルディの勢いは止まらず、まず13周目の5コーナーでラズガットリオグルをとらえて2番手に浮上。さらに前のレイを追う。リナルディは残り4周でレイをオーバーテイクしたが、レイもその先のコーナーでポジションを奪い返す。しかし、バックストレートでレイの前に出たリナルディは、ストレートエンドのブレーキングでオーバーテイク。リナルディがトップに立った。

 2番手となったレイはさらにラズガットリオグルにもかわされて3番手に後退。ラズガットリオグルが2番手に浮上したもののリナルディのペースは速く、終盤にもかかわらず、リナルディは残り3周でラズガットリオグルとレイに対して0.5秒以上の差を築いた。

 最終的に、リナルディはギャップを1秒以上に広げて優勝した。リナルディにとっては今季初優勝であり、2021年カタルーニャのレース2以来の勝利でもあった。2位はラズガットリオグル、3位はレイが獲得した。

 4位はロカテッリ、5位はダニロ・ペトルッチ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)、6位はフィリップ・エッテル(チーム・ゴーイレブン)だった。

 トップを走りながら転倒によって後退したバウティスタは、最終ラップ時点で16番手にまでポジションを上げていた。しかし、最終ラップの16コーナーで2回目のクラッシュ。この転倒によってバウティスタはリタイアとなり、ノーポイントでレース1を終えた。

■レース2:バウティスタが独走で優勝

 スーパーポール・レースは、レイ、ラズガットリオグル、バウティスタがトップ集団を形成してトップ争いを展開した。その中でもレイがトップを守っていたが、最終ラップのバックストレートで、エンジンパワーに勝るバウティスタがレイをオーバーテイク。バウティスタが優勝し、2位はレイ、3位はラズガットリオグルが獲得している。

 この結果により、レース2はバウティスタがポールポジション、レイが2番グリッド、ラズガットリオグルが3番グリッドに並ぶことになった。レース2は気温26度、路面温度39度のドライコンディション。スタート直後にトップに立ったのはポールポジションスタートのバウティスタだったが、レイ、そしてロカテッリが前に出たため3番手に後退。トップはレイ、2番手はロカテッリ、そして3番手にバウティスタがつけ、4番手にラズガットリオグルが続く状況となった。

 2周目1コーナーのブレーキングではロカテッリがレイをかわそうと仕掛け、レイとロカテッリのバトルにバウティスタも加わり、バウティスタがトップを奪う。2番手はロカテッリ。レイはラズガットリオグルにもかわされて4番手に後退し、ラズガットリオグルが3番手に浮上した。

 トップを走るバウティスタは後方を引き離し、独走態勢を築いていく。一方、2番手争いはロカテッリ、ラズガットリオグルによって争われ、レイは次第にこのふたりから遅れていく。そのレイにリナルディが迫り、8周目にレイをパス。リナルディが4番手に浮上した。

 2番手のロカテッリと3番手のラズガットリオグルは僅差のままそれぞれのポジションを守っていたが、レースが終盤に入るとその差がさらに縮まっていく。さらに、ラズガットリオグルの後ろにはリナルディがギャップを詰めていた。

 残り4周、ついにラズガットリオグルがロカテッリをとらえた。ラズガットリオグルは2番手に浮上、そして3番手にポジションダウンしたロカテッリは、ラズガットリオグルにかわされる直前にマシンから白煙が上がっており、このためにスローダウン、ピットインしてリタイアを余儀なくされた。ロカテッリのリタイアにより、リナルディが3番手に上がっている。

 バウティスタは独走態勢を崩すことなく、優勝を飾った。2位はラズガットリオグル。チャンピオンシップにおけるふたりのポイント差は、前戦フランスラウンド終了時点から10ポイント縮まり、47ポイントとなった。3位はリナルディが獲得している。4位はレイ、5位はバッサーニだった。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)では、レース1でニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・ワールドSSPチーム)が優勝した。2位はマーセル・シュロッター(MVアグスタ・レパルト・コルセ)、3位はヤリ・モンテラ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)だった。レース2では最終ラップに起こったクラッシュによって赤旗が提示され、レース終了となった。

 結果はブレガが優勝。2位はステファノ・マンジ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)、3位がフェデリコ・カリカスロ(アルテア・レーシングチーム)となった。日本人ライダーの岡谷雄太(プロディーナ・カワサキ・レーシング)はレース1、2ともに24位。阿部真生騎(VFTレーシング・WEBIKEヤマハ)はトップから105%以内のタイムを記録できず、予選不通過だった。

 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)はレース1で赤旗中断となり、再開されたレースではロリス・フェイヌマン(MTMカワサキ)が初優勝を飾った。2位はジェフリー・バイス(MTMカワサキ)、3位はダニエル・モヘダ(カワサキGPプロジェクト)だった。レース2ではバイスが優勝、2位はマッテオ・ヴァヌッチ(AGモータースポーツ・イタリア・ヤマハ)、3位はマルコ・ガッジ(チームBrコルセ)が獲得した。

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