ロジャー・ウォーターズ、ピンク・フロイド『狂気』を再解釈した作品から「スピーク・トゥ・ミー/生命の息吹き」公開

ピンク・フロイドによるオリジナル作品のリリースから50年、ロジャー・ウォーターズが2023年10月6日に『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン(邦題:狂気)』を、途方もない野心をもって再解釈した『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン・リダックス』を発売する。

同アルバムからは、2曲入りのシングル「スピーク・トゥ・ミー/生命の息吹き」がリリースされた。これは、すでにリリック・ビデオと共に公開されている「マネー」と「タイム」に続く、サード・シングルにあたる。

ロジャーがまだ29歳だった時に、彼をメンバーに擁するピンク・フロイドがレコーディングした『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』は、人間としての体験、時間の経過、そして狂気への転落について多元的に思索する壮大な作品だ。

アルバムの冒頭で聞こえる「老年期を生きる人間の記憶――それは絶頂期を生きる人間の行ないである」という言葉が予告する通り、『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン・リダックス』でのロジャーは、50年間の空白を飛び越えて、彼自身の人生体験や哲学、年齢を重ねることで培った叡知をもとに新たな視点に立ち、オリジナル作品が包含していた哲学的、社会的、政治的なテーマをさらに強調しながら、自らの創作物に再解釈を施し、肉付けをしている。

ロジャーの並外れたボーカル・パフォーマンスは、今や古典と化した彼の歌詞の深遠さにこれまでになかった層を加え、同時に、新たに誕生したこの哲学的な創作物に、ざらついた感触の叡知を付与している。ロジャーとガス・サイファートによるプロダクションは本作を、ピンク・フロイドのサイケデリックなオーケストレーションを削ぎ落し、より生々しく、よりデリケートで、それでいて同等に実験的な独創性に富み、精巧なテクスチュアを備え、音楽的な間テクスト性に溢れた作品に仕上げた。

ロジャーはアルバムについて、「“ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン”はある意味で、人間の在り方に対する、ひとりの年配者の嘆きだったように感じられる。しかし、あのアルバムを作った時のデイヴ(デヴィッド・ギルモア)とリック(リチャード・ライト)とニック(・メイソン)と私はあまりにも若くて、現在の我々を取り巻く世界を見渡してみると、アルバムのメッセージが定着しなかったことは明白だ。それゆえに私は、果たして80歳の人間が持つ叡知が再考ヴァージョンに何をもたらし得るのかと、考え始めたのである。“ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン”を改めてレコーディングするアイデアをガスとショーン(・エヴァンス)に最初に話した時、私の頭がおかしくなってしまったのだと誰もが思ったものだが、検討すればするほどに、“まさにそこが重要なのではないのか?”という想いを強くした。我々が作り上げた作品に、私は大きな誇りを抱いている。全く遜色なく、半世紀の年月を越えて、オリジナル盤と手を取り合って堂々と立っているこの作品を」とコメントしている。

◎リリース情報
アルバム『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン・リダックス』
2023/10/6 RELEASE

Photo: Kate Izor

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