視線集中で引きつる顔 “お笑い”の厳しさ体感、記者コンビ「ニュースペッパーミル」が漫才大会に挑戦

手作りの腕章を巻いて舞台に登場する村上晃宏(右)と森下陽介=姫路市総社本町(撮影・井上 駿)

 「どうもー、『ニュースペッパーミル』でーす」

 舞台袖から手をたたきながら、神戸新聞姫路本社の森下陽介(29)と宍粟支局長村上晃宏(34)が登場した。顔は緊張で引きつっている。100人を超える観客の視線が2人に集中する。

 8月11日、兵庫県姫路市民会館で開かれた「はりま漫才グランプリ」。年齢や国籍、障害の有無にとらわれない大会に2人は参戦した。

 コンビ名は、英語の新聞とワールド・ベースボール・クラシックで話題となったパフォーマンス「ペッパーミル」を組み合わせた。

 デスクに「出てみたら」と言われ、出場した。2人ともお笑い経験はない。どちらかといえば、注目されるのは苦手だ。

   

 「おい、いい加減にしなさい!」

 新聞記者らしく、テレビでもよく流れる懐かしの記者会見を再現したネタで勝負した。渾身(こんしん)の物まねを繰り出す村上に、記者役の森下のツッコミがさく裂。会場から爆笑が起こる。

 人を笑わせるって、楽しい。さっきまで怖かった観客の視線が今、森下には心地よい。漫才、面白いな…。村上も思う。

   

 「準グランプリは、ニュースペッパーミル!」。12組が争い、結果は2位。充実感は半端ない。

 それにしても一緒に戦ったライバルは多様だった。障害のある人、外国人、漫才師を目指す高校生…。ダイバーシティ(多様性)の頭文字から「D-1」とうたった大会だけはある。

 けれど、どうしてみんな、人を笑わせたいと思ったのだろう。まずはグランプリに輝いた「スモールベイビース」に話を聞くことにした。脳性まひがある男性と母親のコンビだ。

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