阪神優勝、二塁手転向の中野「コンバートされて良かった」 「アレ」のキーマンに聞く(4)

5月21日の広島戦で先制打を放つ=甲子園

 プロ野球阪神の18年ぶりリーグ優勝を振り返るインタビュー。シリーズ4回目はプロ3年目で遊撃手から二塁手へ転向し、2番打者に定着した中野拓夢内野手。3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場した。(共同=松澤勇人)
 ―2番打者の役割についてどう考えていますか。
 「クリーンアップにいい形でつなぐことが仕事だと思っていますし、8番の木浪(聖也)さんからチャンスで回ってくることも多かったので、つなぐ場面はつなぐ、かえす場面はかえす。その二つの役割がしっかりできたかなと思っています」
 ―近本光司選手との1、2番コンビはどうですか。
 「(近本が)塁に出る機会が非常に多いので、ランナーがいる状況でのバッティングが多かったです。近本さんといろいろと話していきながら、この投手は走れるとか走れないとか、しっかり意思疎通ができていると思います」
 ―目標とする選手はいますか。
 「バッティングに関して言うと、WBCの時にソフトバンクの近藤(健介)さんの印象がすごく強かったので、そういう2番バッターになりたいなと思っています」
 ―二塁にコンバートされるとき不安があったと話していましたが、転向して良かったですか。
 「守備に関しても、バッティングに関しても、去年より良くなってると思いますし、コンバートされて良かったなと思っています。任されたところでやるのがプロだと思いますし、すぐ気持ちを切り替えてセカンドの練習をすることができました」

 ―成功の要因はどのようなところにあったのでしょうか。
 「ショートだったらどうしても(捕球する前に)投げることを考えてしまったりして、簡単なミスが多かったんですけど、セカンドになったら投げる距離が近い分、捕ることに100パーセントに近いぐらい集中できるので、そこが違いかなと思っています」
 ―打撃にもいい影響が出ましたか。
 「セカンドの方が多少は打撃に重きを置けるというか、バッティングに関して考える時間がショートを守っている時よりも増えたかなと思うので、バッティングにもいい影響が出ているんじゃないかなと思います」

9月12日の巨人戦、木浪(右)との二遊間コンビで併殺を取る=甲子園

 ―二塁手になったことで視野が広がったと感じたことはありますか。
 「二遊間の視野というのは基本的に変わることはないんですけど、セカンドはカバーリングなどが多いポジションで動きが結構難しい部分もあったので、多少視野は広くなっているんじゃないかなと思います」

 ―去年より併殺が増えました。二遊間の守備力向上は実感しましたか。
 「キャンプの期間から(首脳陣が)二遊間のダブルプレーはしっかり取ろうという話をされていたので、取れるか取れないかでピッチャーへの負担も変わりますし、しっかりと取れているところは良かったかなと思います」
 ―挟殺や中継プレーの精度も上がったように感じます。
 「キャンプが始まってから、外野の送球は常に(中継に入る野手が)カット。無駄な進塁をさせないということを意識付けてやってきたので、そこはチームとしても浸透していると思います」
 ―打撃では四球の数が大きく増えました。
 「1、2番を打つのであれば、3割ぐらいの出塁率でも足りないなと感じていました。そこをなんとか変えていかないといけないという思いがありました」
 ―WBC日本代表で得た経験は。
 「本当に素晴らしい選手と一緒に野球ができて、学ぶことが多かったです。ああいう舞台を経験できたことで、気持ちに余裕ができました。シーズン入っても色々なことを試せましたし、大きくスタイルを変えることにつながったんじゃないかなと思います」

優勝を決めた9月14日の巨人戦で、最後のアウトとなる飛球を捕り喜ぶ中野(右)=甲子園

 ―若手がどんどん出てきて、自身の立ち位置も変わってきています。
 「あまり変えているつもりはないんですけど、立場的に引っ張っていかなきゃいけない部分もあると思います。これからもっともっと後輩も入ってくるので、プレーで引っ張っていければと思っています」
 ―理想の二塁手像はありますか。
 「自分自身の二塁手像をつくっていければと思っています。守るだけじゃなく、走攻守全てできることが理想です」
 ―WBCでの世界一、セ・リーグ制覇ときたら、最後は日本一ですね。
 「ここまでこの1年間でいろんな経験ができると思っていなかったです。何とかその三つ、世界一とリーグ優勝と日本一を成し遂げるようにやっていきたいなという気持ちはあります」

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