ハミルトン、不満を示しつつも僚友を支援、5位も守る「チームのためフェラーリに勝つことが重要だった」F1日本GP

 2023年F1日本GP決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンは5位を獲得した。

 ハミルトンはスタート直後にセルジオ・ペレス(レッドブル)との接触があり、ウイングに小さなダメージを負い、順位もひとつ落としたが、ペレスの後退により7番手に戻った。序盤、チームメイトのジョージ・ラッセルと激しくバトル、前の位置を維持したハミルトンだが、さらに約10周後、ラインがふくらんだことでラッセルに追いつかれ、再びバトルに。ハミルトンはポジションを守るなかでラッセルをコース外に押し出す形になり、この一件は記録されたが、ペナルティは科されなかった。

 ラッセルとのインシデントの直後の16周目にハミルトンは最初のタイヤ交換に入り、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とエステバン・オコン(アルピーヌ)を抜き、6番手に上がり、2回目のピットストップを実行。カルロス・サインツ(フェラーリ)をアンダーカットして6番手を走行、1回ストップのラッセルに追いついた。

 より新しいタイヤを履いたサインツがすぐ後ろまで迫り、古いタイヤでペースの悪いラッセルを先頭に、ハミルトン、サインツが一塊になり、ハミルトンはチームに「これではふたりともポジションを失うぞ」と言い、チームはポジションチェンジを決断。ラッセルは「最終ラップまで待てない?」と聞いたが、チームの指示で、残り5周のところでハミルトンが前に。ラッセルは「チームゲームをしろって言うけど、彼はさっき僕をコース外に押し出したじゃないか」と不満を示した。

2023年F1第17戦日本GP ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、カルロス・サインツ(フェラーリ)

 ハミルトンはチームの指示で、ラッセルから遠ざからずに、DRSを与えて助けようとするが、ラッセルのタイヤの状態は非常に悪く、DRSを得てもサインツに抜かれてしまった。

 DRSを与えるためにすぐ前にいたハミルトンも危うい状況となり、「意味なくタイムを失ったよね」と不満を言うが、なんとかサインツからポジションを守り切り、5位でフィニッシュした。

 メルセデスは5位と7位で16ポイントを獲得、一方、フェラーリは4位と6位で20ポイントを稼いだため、コンストラクターズ2位のメルセデスは、3位のフェラーリに20ポイント差まで近づかれる結果になった。

■ルイス・ハミルトン(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム)
決勝=5位(53周/53周)
7番グリッド/タイヤ:ミディアム→ハード→ハード

2023年F1第17戦日本GP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 本当にくたくただ。今週末、フェラーリはアップグレードを持ち込んで、僕たちよりも少しだけ速かった。とんでもない戦いだったよ。ポジションを守るために必死に戦った。

 サインツの前に出ることができたのは、素晴らしいチームワーク、そしてピットストップや戦略担当のメンバーの優れた仕事のおかげだ。

 これが今日僕たちに可能な精一杯の結果だった。コンストラクターズ選手権2位争いがいかに重要か、僕たちは承知している。ブラックリーとブリックスワースの全員がランキング2位を確保するために必死に頑張ってくれている。今日は、フェラーリに対するポイントロスを最小限に抑えることが重要だった。最終戦まで、まだ長い道のりがある。

(ラッセルにDRSを与えるという戦略について聞かれ)その提案があった時、前回のレース(注:シンガポールでのサインツの戦略)から考え付いたことだと分かった。でも、結局は意味がなかった。

 僕としては、できるだけ遠ざかる必要があった。後ろに約2秒の差をつけたが、チームからジョージにDRSを与えるよう言われた。それでストレートでペースを落として0.8秒差まで近づいたんだ。彼はDRSを得たけれど、結局抜かれてしまった。彼は1ストップで走っていたのだから、そうなることは分かっていた。そしてサインツは僕のすぐ後ろまで来てしまった。理想的な状況ではなかったよ。最後の2周は本当にきつかった。

 これについてはチーム内で話をする。そういうやり方が一番いいんだ。

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