「悔しい」「残念」21歳熱海富士 初優勝するり…でも「ありがとう」「誇らしい」地元静岡からねぎらいの声

本当に惜しい、あと一歩でした。9月24日、千秋楽を迎えた大相撲秋場所で熱海市出身の熱海富士(21歳、伊勢ケ濱部屋)が優勝決定戦に臨みました。地元力士の快進撃に静岡県内からも多くの声援が送られました。

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<行司>
「優勝決定戦にござりまする」

緊張の面持ちで大一番を迎えていたのは、21歳の熱海富士。勝てば、静岡県出身者として初めて幕内最高優勝が決まる取り組み。ボルテージが上がるこの一番に県内から多くの声援が送られました。

<熱海在住 橋幸夫さん>
「なんとかきょう勝ってもらって地元としてはね」
Q.期待してます?
「そう思ってます」

<参加者>
「街じゅうで応援しています。ぜひ優勝してください」

熱海富士の地元・熱海市では、応援のため120人が集まりました。

<後援会会長 内田進さん>
「こんなに早く優勝が目の前に来たのは感慨に堪えません。どうか最後まで応援よろしくお願いいたします」

<参加者>
「朔太郎ー!熱海富士ー!がんばれー」

熱海富士の母校・沼津市の飛龍高校では、相撲部の後輩をはじめ、バスケ部やソフト部の部員など50人以上が集まり、大舞台で活躍する先輩に熱いエールを送りました。

<飛龍高校相撲部 副部長 國次晃輔さん(3年)>
「前に出る自分の相撲で優勝を決めてほしいです」

<飛龍高校相撲部 白坂湧人さん(3年)>
「自分らしい相撲をとって頑張ってほしいです。誇らしいです」

そして、迎えた優勝決定戦。前に出た熱海富士は、大関・貴景勝の変化についていけず、勝負はあっけない幕切れに。4回目の優勝となった大関との経験の差が表れてしまった格好です。

<飛龍高校>
「あ~」

<地元応援団>
「キャ~」
「がんばった~」

<飛龍高校相撲部 副部長 國次晃輔さん>
「悔しいです。誇らしい活躍でした。熱海富士の背中を追いかけて頑張りたいです」

地元の声援を受けながら、大一番を終えた熱海富士は…。

<熱海富士>
「稽古が足りないですね。悔しいなぁ」

念願の初優勝には届かなかった熱海富士ですが、今場所は快進撃を続けてきました。14日目の取り組みでは、流血しながらも優勝経験がある阿炎を下し、単独首位に立つなど予想を覆す活躍を見せてくれました。その様子を見守っていた人が三島市にいます。

<光玉母食堂 めし しんちゃん 杉山信二代表>
「この部屋が朔太郎、熱海富士が寝泊まりしていた部屋です。ここでテーブルを寄せて大の字になって寝てました」

三島市にある食堂「光玉母食堂 めし しんちゃん」は、熱海富士が高校生の時、半年間ほど下宿していた場所です。

店主の杉山さんは40歳までアマチュア相撲で活躍。自身が指導をしていた三島の相撲クラブで熱海富士と出会い、小学生時代から指導してきました。

<光玉母食堂 めし しんちゃん 杉山信二代表>
「素直でよい子でしたよ。相撲に対してはいうことなし。ちょっとズボラなところがあるかな(笑)」

さらに、デカ盛りが有名な杉山さんの店で、熱海富士が大好物だったのが、大きな唐揚げと焼き肉が自慢の「焼きから定食」です。

<光玉母食堂 めし しんちゃん 杉山信二代表>
「いままでの生徒の中で一番食べたんじゃないですかね。黙っていれば3合、4合普通に食べました」

息子のような存在の熱海富士の活躍に杉山さんは…。

<光玉母食堂 めし しんちゃん 杉山信二代表>
「(今回の結果は)ひとことでいうと残念。でも、あそこまで行ったのは本当に『ありがとう、ごくろうさん』っていう感じですね。焦らずゆっくりと、頂点の横綱を目指してもらいたいですね」

熱海富士の活躍は、県内にいる後輩にとって大きな刺激となりました。

沼津市の飛龍高校では、千秋楽翌日の25日午後3時から熱海富士の後輩にあたる相撲部員が稽古を始めました。現在の主将は熱海富士の妹・武井陽奈さんです。

<熱海富士の妹 飛龍高校相撲部主将 武井陽奈さん>
「きのう国技館で取り組みを見守っていた。見ていた時はすごく悔しかったが、いまは(兄は)やっぱりすごいなという方が大きくて、優勝決定戦まで進むなんてすごい」

相撲部の顧問は、高校時代の熱海富士を指導していた栗原大介さん。24日は両国国技館で熱海富士の熱戦を見届けました。

<飛龍高校相撲部 栗原大介顧問>
「(取組後、熱海富士には)直接声をかけた。『よく頑張った、ありがとう』と感謝の言葉を伝え、本人は悔しがっていたので『まだまだです。もっと強くなります』と言っていた」

優勝をその手につかみかけた熱海富士の奮闘ぶりは、県内の多くの人の心に刻まれました。

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