教員活動阻害要因「部活」など回答多く 青森県教育改革会議、先生・保護者のアンケート結果を公表

アンケートで明らかになった改善点などを説明する大谷参与=25日、県庁

 青森県教育改革有識者会議(議長・大谷真樹知事参与)は25日、県内小中高校と特別支援学校の教員や保護者を対象に行ったアンケート結果を人工知能(AI)で「見える化」し、公表した。教員に「教員活動を阻害していること」を聞いた結果、多い順に部活動指導、勤務時間、保護者対応に関する単語が多く浮かび上がった。保護者からは改善や改革が必要なこととして教員の対応、部活、学校設備が多く挙げられた。同会議はこの結果を基に、来年1月にも教育改革の方向性を宮下宗一郎知事に提言する。

 アンケートは教員の働きやすい環境整備のため、学校現場の課題を明確化することを目的に8月28日から開始。9月5日までに集まった自由記述回答をAIで分析、単語の出現頻度などから特徴を捉える「テキストマイニング」で「見える化」した。回答は所属長を経由せず、インターネットで直接入力する方法を取った。

 「教員活動を阻害していること」の回答で多かった単語をジャンル分けすると「部活動指導」「勤務時間」「保護者対応」に続き、「制度・ルール」「ICT」「職場環境や設備」「校務分掌」などが多かった。また、教員向けに「改善や改革が必要なこと」の設問には多い順に「教員数」「部活」「インクルーシブ教育(特別支援教育)」「学校設備」「ICT教育・環境」が並んだ。

 一方、保護者に「改革や改善が必要と感じたエピソード」を聞いたところ、多い順に「教員の対応」「部活」「学校設備」「その他」のほか、「校則・制服等」「教育の手法・技法」「PTA・保護者」が多く抽出された。

 回答したのは全教員約1万1千人のうち5504人、保護者は1919人。教員の約半数が未回答であることに、大谷参与は「今まで何度調査をやっても(現場は)変わらなかった-と諦めている先生が多数いると思う。調査を改革につなげてこられなかった過去の教育行政の責任」と指摘。また「われわれ委員は全回答を共有し、議論の材料にする。肌感覚で分かっていた課題を可視化したことで、緊急度、切実さが伝わってきた。改革には全県民の理解と協力が不可欠で、県民にも結果を見てほしい」とも述べた。

 回答した教員は勤務地別に青森市1290人、八戸市1006人、弘前市755人、上北郡394人、むつ市296人の順で多かった。教員の年齢層別では45~54歳が最高の36%、55歳以上28.2%、35~44歳18.1%。27歳以下は7.1%だった。

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